子どもの預け先探しに苦心する母親が心情を吐露した「保育園落ちた日本死ね!!!」という匿名ブログが、ついに国会にも取り上げられた。2月29日の衆議院予算委員会で質問に立った山尾志桜里議員(民主党)に対し、安倍首相はこう冷たく返答した。
「実際どうなのかというのは、(書き込みが)匿名である以上、実際にそれが本当かどうかということも含めて、私は確かめようがないのでございます」
与党席からも「出典はないんだろ出典は」「誰が言ったの」「本人出てこいよ」などといったヤジが飛んだ。これを見た女性たちはネットで怒りの声をあげ、ツイッターに「#保育園落ちたの私だ」というハッシュタグを作成。国会前でのデモの呼びかけに発展している。
「日本は既に死んでるよ。ヤジ飛ばした議員、辞職しな!」女性たちは、ブログは匿名ではあるが多くの母親の悩みや怒りを代弁していると主張。ある女性は「本人出てこいよ」などとヤジを飛ばした国会議員を批判し、デモによって自分たちの存在を知らしめるとしている。
「『誰が書いたんだよ』と言うならば、書いた内容に賛同する人達が国会前でデモすれば、事の重大さが分かるか?そこまでしなきゃ分からないお馬鹿が国会議員だという時点で日本は既に死んでるよ。ヤジ飛ばした議員、辞職しな!」
3月4日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)も、ハッシュタグを使って投稿した女性を取材。都内に住む母親(36)は、長女が2歳になったのを機に再就職を目指したが、認可保育園の入園が叶わなかった。
まさに匿名ブログの筆者と同じ境遇にあり、国会のヤジに対し「『言ったの誰だ』とかっていう、そもそもの論点が違う」という憤りがあって投稿したという。
「結局(子どもが)1人でこんなに大変なのに、もし2人目できたらどうなるんだろう。欲しいけど踏み出せない状態ですね」
番組では「日本死ね!!!」の匿名ブログの筆者との接触に成功。やはり「誰が書いたか」という点を議論するのは的外れであり、「実際の現場をどう改善していくかという建設的な議論をして欲しかった。論点がズレてる」と嘆いていた。
保育園が増えない根本原因は「保育士の給与の低さ」金曜コメンテーターの吉永みち子さんは、国会答弁は保育園に落ちて絶望している人たちを切り捨てたと指摘。キャスターの羽鳥慎一さんも、ネットと国会との温度差を「溝っていう表現じゃ、もう言えない。堀? 川? ぐらい間があるんだな」と首を傾げた。
同日放送の「バイキング」(フジテレビ系)もこの話題を取り上げ、保育園を運営する角川慶子さんが、待機児童問題が起こる背景を解説した。角川さんによると、2015年の待機児童2万3167人のうち、73.7%が都市部に集中しているという。
その原因には夫婦共働きの増加があるが、保育園が増えない理由は用地不足や住民の反対以上に、保育士不足が深刻なためだ。待機児童を解消するには保育士が約6万2000人足りないが、130万人の潜在保育士は主に給与の低さを理由に職に就きたがらない。
これには番組出演者もショックを受けたよう。坂上忍さんは、この額では保育士自身も共働きしなければなくなり、さらに預ける保育園も足りなくなる「負のスパイラル」になると指摘。国会議員の危機感の低さに声を荒げた。
3月5日午後にも国会前で抗議行動「こういう問題こそね、超党派で出来ないの? って思うんだよね。党を超えて、とっとと問題を解決して、その方がよっぽど政治不信もなくなっていくわけだから」
市民にも、団結する動きが起こり始めている。署名サイトのchange.orgには「#保育園落ちたの私と私の仲間だ」と題したキャンペーンが登場。「『実際何が起こっているのか』『中身』を国会議員の皆さまにお伝えするべく、署名活動を行いたいと思います」と説明されており、4日20時現在で8000人を超える賛同を集めている。
また、3月4日の18時30分からは、国会前で「#保育園落ちたの私だ スタンディング」抗議活動が行われ、5日にも13時30分から行う予定とのことだ。
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