みなさんはゆとり世代についてどうお考えだろうか。世間一般のイメージは、あんまり良くはないのが実情だろう。僕個人も、ゆとり世代と同じ仕事に関わって、嫌な思いをしたことが何度かある。(文:松本ミゾレ)
終始ニヤニヤ顔の新人ディレクターに安住アナも戸惑う2月27日放送の「新・情報7daysニュースキャスター」(TBS系)をご覧になった方はいらっしゃるだろうか。冒頭で河津桜が満開となった静岡県の南伊豆町からの中継が行われたのだが、その雰囲気が新人ディレクターによってぶち壊されてしまった。
夜桜を背景にニヤニヤ顔で登場した星野ディレクター。カンペをがっしりと両手で掴み、フラフラと肩を左右に揺らしながら、ヘラヘラとイベントについての説明を行う。なんだか普段の中継のクオリティとは随分な落差を感じる。
「ディレクターはじめてです!」と笑いながら告白する。なんと年齢は25歳だという。たどたどしい口調と相反する、妙に堂々とした態度に、安住アナも困惑しながら「ええ、はい、ええ」と繰り返す。
中継特有の会話で生じるラグにも慣れていないのか、安住アナとの話のレスポンスも放送事故並みに悪い! これにはスタジオのビートたけしも「新人の漫才師みたいだな」と苦笑。
「しょうもないリポートをしやがって」という怒りは数秒で「あ、この子はまだそんなことで怒っても仕方がないレベルの子だ」と思えるようになり、そこからは何だか無性に面白く感じた。
「実は僕、毎年来ています。彼女さんと、プライベートで」中継が初めてで緊張しているのか、桜について説明している際に突然「よろしくお願いします!」と元気いっぱいの挨拶をする星野D。これには安住アナも「そういう挨拶抜きにしてリポート始めてください?」と困惑の表情。
さらに、安住アナが「星野さんは河津桜を見るのは初めてですか?」と聞くと、「実は僕、毎年来ています。彼女さんと、プライベートで」とヘラヘラと回答。まるで大学サークルのようなノリだ。
波乱の中継は、結局河津桜の美しい映像に、星野Dと安住アナのガタガタな会話が繰り広げられつつ、数分間で終了となった。スタジオを映し出すカメラの前で、安住アナが口にした「ついにゆとり世代がディレクターになりはじめた、と」という言葉が印象的だった。
ネットでは「星野君の中継あるなら毎週見る」となぜか好評中にはこの中継を「ひどい中継だ」とか「ふざけるな」と思った視聴者もいたはず。実際ネット上でこの日の中継についての感想を検索してみると、そういった声も目に付く。
一方で僕のように、星野Dに対して妙に惹かれてしまったという人々も少なくなかった。 Twitterでは、彼について、こういう声が寄せられている。
「あの若いディレクター面白い!」
「情報7daysの中継笑った」
「これから毎週星野君の中継あるなら毎週見る」
と、こういった感じで、ことTwitterを見る限りだと、星野Dに対して否定的な声はない。誰でも最初は上手く物事をこなすことはできない。星野Dも、中継も初めてだった割には、とびきりの笑顔で頑張って乗り切った(乗り切れてないけど)。その頑張りは視聴者にもきっと伝わったはずだ。
もっとも、彼がこんなへんてこな中継をしてもスタジオが笑いに包まれていたのは、あくまでもこの番組の気風に合っているからであって、これが仮に「報道ステーション」のような辛気臭いスタジオとの中継だったら、きっとエラいことになっていただろう。そういう意味では、星野Dを中継に抜擢した情報7daysのブレーンは、適所に適材を配置する天才なんだろうなぁと思えた。
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