2月16日、中国が強行埋め立てした南沙諸島に、ミサイルを配備したとの一報が流れ、世界が緊迫に包まれた。いっぽう、日本の大阪でも、中国とのもう一つの戦いの火蓋が切って落とされていた――。
中国で最大の休暇期間である旧正月「春節」。今年は、2月8日を中心にして50万人ともいわれる中国人が大挙来日した。「この商機を逃すまじと、中国人スタッフを雇って対応したり、外国人限定の品揃えをしたりと、売るほうも躍起です」(経済誌記者)
昨年は、春節の期間だけで、1000億円もの経済効果を日本にもたらしたといわれ、今年も期待が高まっていたが……。「最近はだいぶ改善されたものの、中国人の観光客のマナーはまだ発展途上と言わざるをえません」(前同) その傍若無人ぶりが度々問題視されてきたが、傍若無人といえば、彼らに勝るとも劣らない存在が日本にはいる。“大阪のおばちゃん”だ。
以下、本誌特派員らの目撃談を紹介しよう。「ミナミ付近でのこと。その日は天候が優れず、空からゴロゴロと、低い音で雷鳴が聞こえてきたんです。その場にいた10人ほどの中国人観光客グループのうち、若い女性が怖がって“キャッ”とその場にしゃがみこんだんですが……」 その姿を見た仲間たちは大はしゃぎでからかい始めたが、それが少し度を越してしまったようだ。そのうちの一人が、うっかり日本人の中年女性にぶつかってしまったのだ。彼女はすぐにキッと振り向くや、「あんたら、雷ごときでうるさいで!」と一喝。さらにしゃがみ込んだ女性に、「あんたも大げさや。あんなん当たっても、パーマ代が浮くだけやで!」とどやしつけたのだった。「言葉は伝わらなかったでしょうが、勢いに圧倒され、観光客はすっかり静かになりました(笑)」(特派員A)
抗争はお隣・奈良県の東大寺にも飛び火。「鹿公園で、大阪から来てたおばちゃんグループが、中でも一際大きい鹿に鹿煎餅をあげていたんです。そこに若い中国人グループが割り込んできて、その鹿に横から煎餅をあげ始めたら……」(特派員B) おばちゃんたちは口角泡を飛ばして、「今、この鹿と遊んでたんはウチらや。順番守りや!」と一斉にまくしたてたという。「そのとき、たまたまその鹿が一人のおばちゃんの手から煎餅を勝手に食べ始めたんです。おばちゃんは勝ち誇ったように、“ほら見い。鹿もウチらのほうが好きやんか。大阪のおばちゃんナメたらアカンで!”と、勝ち誇った表情をしてましたね(笑)」(特派員B)
かように軋轢(あつれき)が強まる両者だが、こんな事件も。「購入したタコ焼きを店の前で食べてはった中国人のお客さんに“ネギ乗っけたほうがウマイんやで!”と、おばちゃんがゴリ押ししはったんです。中国の人は明らかに迷惑そうやったのに、おばちゃんがネギを無理やり乗せはったもんやから、空気は最悪に。ところが、中国の人がそれを食べた瞬間、めっちゃ笑顔になって、喜んだはりました。おばちゃんも満足気でしたな」(大阪市浪速区の商店街関係者) 何かと難しい日中関係だが、大阪のおばちゃんに学ぶところあり?