日本では中国から伝わった「節句」が今なお数多く保存されている。3月3日の桃の節句、ひな祭りや5月5日の端午の節句はその一例だ。新しいものを積極的に取り入れると同時に、古いものと融合させるのが得意な日本人だが、中国は新しいものを導入する一方で古いものを破壊していく傾向にあり、中国では古くからの伝統が失われていると危惧する声も高まっている。
中国メディアの今日頭条はこのほど、日本の雛祭りは中国の唐に起源を発する行事であると紹介、この伝統行事を消失させた中国とは対照的に、日本では大切な行事として発展し、さらに今なお継承されて光輝いていると論じる記事を掲載した。
記事は日本の3月3日の雛祭りはもともと中国に起源を発し、陰暦3月3日に不運と細菌を身から払い去る伝統行事の日だったと紹介。そして、もともとこの行事には男女の区別はなかったが、日本に伝えられた後、日本は独自の文化と感性を活用してこの行事を豊かに発展させていったと説明した。
ひな祭りの起源は正確にはよく分かっていないが、3月3日にひな人形を飾るという現代の行事は長い年月とともに内容を変えながら受け継がれてきたものだ。当初は儀式というよりも遊びや穢れのようなものだったという。穢れを人形に移して川に流す、厄除けとしての「流し雛」のように変化し、その後、「女の子の人形遊び」とひな人形が結びつき、現代のようなひな祭りに変化していったとの見方もある。そしてこの人形は徐々に精巧さを増し、やがて家の中に飾られるようになった。この点はものづくりを極めることを愛する日本人らしさも感じ取れて非常に面白い。
また、女子の健やかな成長を祈るひな祭りでは、ハマグリのお吸い物やちらし寿司は食べる風習があるが、記事はちらし寿司には長寿を願う意味があるなどと紹介。中国の唐に起源を発する行事を日本がこれほど内容の豊かな行事に発展させたこと、大切に守り受け継いでいること、また子どものためにこれほど心のこもった行事を取り行うことを記事は称賛している。
日本とは対照的に中国では陰暦3月3日に行われていた行事は現在消失してしまっている。元々はまったく同じだったはずの伝統行事が中国では消失、日本では豊かに発展また伝承された点は非常に興味深い。中国国内では、中国人が西洋崇拝をするあまり、「自分たちの伝統文化を捨ててしまった」という意見や、バレンタインデーやクリスマスなどが重視され過ぎて中国の伝統文化はどんどん味気ないものになっているという意見も聞かれる。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)