30代に入ったビジネスマンの多くが直面する課題、そのひとつが「マネジメント」だ。30~35歳の会社員男性200人に「苦手と感じる仕事」をアンケート調査(協力:ネオマーケティング)したところ、1位「職場(チームや後輩など)の雰囲気を盛り上げること」(25.5%)、2位「部下、後輩を厳しく叱ること」(22.5%)、6位「部下、後輩のやる気を出させること」(15.5%)など、マネジメントに関する悩みが上位に。そこで、巷にあふれる“仕事本”に助けを求めてみよう。
今回訪ねたのは、著書『最高のリーダーは何もしない――内向型人間が最強のチームをつくる!』(ダイヤモンド社)が話題の藤沢久美氏。ミドルマネジメントやリーダーシップについて話をうかがった。
●“自分でやったほうが早い”はサボりと同義
「組織には階層があり、それぞれの層でやるべきことが決まっています。部下に任せるべき仕事を自分でやってしまうのは、リーダーの職務を放棄して仕事をサボっているのと同じです。仕事を任せておくと、そのうち現場だけでは解決できない問題が出てくるはず。そういう事態を想定して、事前に上司とコンタクトを取っておいたり、外部への根回しをしたりするというのが、リーダーやマネージャーの仕事なんです」
しかし、放っておいても仕事を片付けてくれる部下ばかりではないのが実情だ。どうすればうまくマネジメントできるのか。藤沢氏は「お題」を与え部下本人に考えさせる“壁打ち”が重要だという。
「そこで、本のタイトル『何もしない』が出てくるんです。自主的に動いてもらうために、何度も『こういう場合はどうするべきか』と尋ね、自分の頭で考えて、行動してもらう。自分の考えが認められるのはうれしい、ということがわかれば、どんどん主体的になるはずです。お題を与え、その答えも用意しておくが、詳細は教えない。『何もしない』のは、実は一番難しいことなんです」
●マネジメントのコツは結婚生活にも通ずる?
「人によって距離感は違うので、何度もトライするしかないです。また、他人から好意を持たれるためには、まず自分が相手を好きにならないといけません。リーダーでいる限りは、部下全員を好きにならないといけないんです」
とはいえ、どうしても好きになれない部下だっているはず。そんな時、藤沢氏は「ゲーム感覚で話しかけてみる」と自身の経験を語ってくれた。
「例えば、嫌いな人に挨拶できた日はパフェを食べてもいいというルールを作ってみるんです。それも難しければ、心のなかで挨拶するだけでもいい。爪を切る時に『〇〇さん、いつもありがとう』とつぶやいて、オフィスでふとツメを見た時に、『挨拶しなきゃ』って思い出すような仕掛けをするのもいいですね」
「嫌いな部下のために、そこまで…」と思っていると、藤沢さんは「実はこのルーティーン、仕事だけじゃなく、プライベートでも役に立つので、ぜひ試してみて欲しいんです」という。
「長くなった結婚生活と同じですよ~。ゲーム感覚でもいいから、なんとかして『いつもありがとう』と言うだけで、関係改善の兆しが見えるはず。家庭がうまくいっていれば、より仕事に打ち込みやすいですし、一石二鳥です」
職場でリーダーシップをとるコツは、パートナーとの生活を維持するためのコツでもあった!? 30オトコにとって、両方とも必修の科目といえるだろう。
■“仕事本”に学ぶ 第1回
※当記事は2016年03月08日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。