と言っても、人間と人工知能の戦いだ。中国では世界最強の棋士である韓国の李世ドル(イ・セドル)九段とグーグルの人工知能「AlphaGo(アルファ碁)の勝負に強い関心が集まっている。(「ドル」は「石」の下に「乙」)
中国では囲碁が、高尚な人々のたしなみと見なされてきた。そのこともあって、囲碁ファンは多い。囲碁のことをそれほど知らなくとも、囲碁関連のニュースには関心を示す人が多い。
「AlphaGo」は9日の第1局で、予想を覆して李九段に勝利。中国メディアの中国新聞社は10日の第2局を前に、「人とマシンの大戦。今度は迎撃戦だ。李世ドルは人類の“尊厳”を防衛できるか?」と、日本ならばまるで「プロレス記事」の見出しのような調子で、李九段の雪辱に期待した。
第1局の際には、街頭に大型モニターが設置され、立ち止まって対局の様子を眺める人も多かったという。
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◆解説◆
「棋」は囲碁を指す。日本の将棋と同系統の中国の「象棋(シァンチー)」の起源がインドの「チャトランガ」というゲームであるのに対し、囲碁は中国で発生したと考えられていることも、囲碁に対する中国人の高い関心に影響しているようだ。中国の歴史書にも、囲碁の棋譜が示されることがある。
「書」と画」についても、上流階級のたしなみとされた。ただし「画」については、文人の手による作品と、画工による作品の区別が大きかった。文人による作品では、技術とは別に精神性が強く求められた。
日本には奈良時代ごろから「琴棋書画」がすべて伝わったが、「琴」は早くすたれた(江戸時代に一部で復活)。そのため別の楽器の「筝」と混同され、「琴」を「こと」と読んで「筝」系統の楽器を指すようになった。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)