ボランティア激減=ピークの3%、不足深刻―福島・大震災5年 | ニコニコニュース

 東京電力福島第1原発事故が起きた福島県では、ボランティアの不足が避難住民の帰還に向けた作業に影を落としている。今春の避難指示解除が見込まれる南相馬市では、これまで手つかずだった家屋の片付けなどが本格化し需要が急増。市社会福祉協議会は若者らの参加を呼び掛けている。

 福島県社協によると、ボランティアセンターは県内18市町村に19団体あり、ピーク時の2011年5月には約3万4400人が活動していた。がれき撤去などが一段落し、15年末時点の登録者は当時の3%の900人弱にとどまる。

 「これは捨てますか、残しますか」。1月30日、南相馬市小高区の民家で男性ボランティア10人が片付けを手伝っていた。家具から表彰状まで一つひとつを家主の女性(63)に見せて廃棄の可否を確認し、容量1000リットルの袋に詰め込んでいく。

 女性は会津若松市のアパートに避難中だが、「家族と過ごした家をなくしたくない」と、12年夏から3カ月に1回自宅に戻り、片付けに取り掛かった。荒れ果てたわが家を目の当たりにし、「どこから手を付けていいのか分からなかった」と振り返る。

 業者は予約待ちの状態が続き断念。近所の知り合いからボランティア団体を紹介され、清掃を頼んだ。女性は「一人で途方に暮れていたが、手伝ってくれて心強かった」と話す。

 作業に約6時間を費やし、終了した午後3時ごろには、家の前には20袋が積み上がっていた。家財が放射線で汚染されているか分からないが、「気持ちが悪いから」と大半を廃棄した。

 神奈川県から駆け付けた山岡滋さん(68)は「5年もたてばボランティアが減るのは仕方ない。われわれが手伝うことで、一人でも多くの避難者に戻ってきてほしい」と話した。

 南相馬市は4500〜5000人の帰還を予想し、「大半は高齢者で、ボランティア需要は高まる」と見込む。同市社協ボランティアセンターの鈴木敦子センター長は「福島の復興はこれからが本番。多くの方に参加してもらいたい」と訴える。