ついにサッカー界にも導入! ビデオ判定により暴き出される「意外なこと」って? | ニコニコニュース

イメージ画像(Photo By Nazionale Calcio from Flickr.)
日刊サイゾー

 FIFA(国際サッカー連盟)のジャンニ・インファンティーノ新会長が“歴史的決断”と称し、ミスジャッジをなくすため、ビデオ判定を試験的に導入すると、イギリスの「ガーディアン紙」が伝えた。他のスポーツでは、以前からテニスやラグビーなどがビデオ判定を取り入れている。

 遅くとも、2017-18シーズンまでには実際に試合での試験採用を目指しているという。主に、得点(オフサイドも含む)、PKの判定、レッドカードによる退場、カード提示時の選手確認の4つの状況に対し、ビデオ判定が行われることになる。もちろん、毎回毎回、ビデオ判定を行うわけにもいかない。テニスのようにビデオ判定の要請回数を制限する“チャレンジ制度”の導入など、さまざまな意見も出ているが、ひとまずは、審判団の判断でビデオ判定を行うようだ。

 以前からビデオ判定の導入は、ファン、選手、クラブなどから要望の声は大きかったが、UEFA(欧州サッカー連盟)のミシェル・プラティニ会長が強く反対していたことで見送られていた。しかし、昨年のプラティニ会長の汚職事件による失脚が、インファンティーノFIFA会長に決断をさせた要因のひとつだろう。

 プラティニ会長が反対していた理由は、ビデオ確認の時間によるゲームのスピード感の欠如が主な要因だったようだが、実際はどうなるのだろうか?

「抗議している時間や、ケガをしているフリでの時間稼ぎの方が、スピード感を損なわせていると思います。ビデオ判定の導入がスムーズに行われれば、どちらもなくなるので、よりゲームはエキサイティングなものになると見られていますよ。ビデオ判定の映像をスタジアムで流すことができれば、観客も盛り上がるはずです」(スポーツライター)

 一見、ポジティブな要素しかないように思われるビデオ判定だが、ネガティブな面はあるのだろうか?

「ただひとつ気になる点は、ルールブックに則って正確な判断を下せるかどうかですね。というのも、ルール上やってはいけないプレー、例えばユニフォームを引っ張ったり、体を手で押さえつける行為も、現在はある程度黙認されている状態です。それらをビデオ判定により全て暴き出してしまうと、どこかしらでファウルが行われている状態になってしまいます。しかし、ルールブックを『少しだけ、ユニフォームは引っ張ってもいい』とするのは、また新たな問題が発生してしまいますので、難しいところですよね」(同)

 ほとんどの関係者が賛成をしているビデオ判定の導入だが、まだまだ意外な落とし穴は存在するかもしれない。インファンティーノ新会長には、完璧な制度の確立を期待したい。
(文=沢野奈津夫)