2016年3月12日(土)に公開されるピクサー最新作『アーロと少年』。
【動画】圧倒的な自然描写がすごい!『アーロと少年』ミュージック予告映像
もしも隕石が地球に衝突せず、恐竜たちが文明を築いていたら? という世界を描いた作品です。
架空の世界を描いた作品ですが、ピクサーはリサーチを怠りません。
監督自ら、身体を張ったリサーチで、よりリアルな「もしも」の世界を創り上げていきました。
今回は、『アーロと少年』制作現場のエピソードをご紹介します。
家を建てた? 日本にも来た?
ピクサーは、おもちゃの世界、車の世界、頭の中の世界など、私たちが見たことのない世界をアニメーションで描いてきました。
『アーロと少年』も、恐竜が文明を築いたという架空の世界です。
ピクサーでは、私たちが見たことのない世界をよりリアルに感じさせるため、徹底的なリサーチを行ってから世界観を創り上げます。
たとえば、『インサイド・ヘッド』では心理学者や脳科学者をスタジオに招き、頭の中の構造を勉強。
感情がどのように生まれるのかを研究しました。
『カールじいさんの空飛ぶ家』では実際に家を作り、配管の構造までも研究しました。
リサーチはスタジオの外にも飛び出し、『カーズ』では実際にルート66をドライブ、『カーズ2』では日本を訪問し、多くの写真やビデオに記録しています。
『アーロと少年』では恐竜の世界が舞台。
もちろん恐竜の化石や標本を研究しました。
さらに現在いる動物も研究し、アーロはゾウを基にモデリングされています。
アーロの気持ちを知るため川に飲まれる
都会っ子の監督がアーロの世界へ
『アーロと少年』の監督ピーター・ソーンは都会育ちでした。
都会っ子のピーター・ソーンは『アーロと少年』の雄大な自然を経験したことがあまりありません。
そこで、ピクサーのスタッフたちは監督を引き連れ、アメリカ北西部のオレゴン州やワイオミング州、モンタナ州に出かけました。
険しい山道の乗馬体験など、監督はじめての経験メニューが次々に組まれ、スタッフたちは実際の体験からインスピレーションを受けていきます。
乗馬の厳しさは、監督が2日目のメニューをためらうほどだったそうです。
アーロの気持ちを知るため激流に飲まれる
『アーロと少年』では、弱虫な恐竜アーロが川に流されることで家族と離れ離れになってしまいます。
見知らぬ土地に辿り着き、孤独で不安な気持ちになるアーロ。
そんなアーロの気持ちをリアルに描くため、ラフティングも体験。
わざわざダムが解放され川の水が増して急流が起こる早朝に出発した一行。
待ち受けていた激流は想像以上で、ボートは激しく揺れ、後ろ向きに進むほど。
さらにプロデューサーのデニス・リームが川に落ちてしまいました。
監督は「川は美しいと同時にとても危険なんだ。リームが川から落ちた時とても怖かった。彼女をなんとか川から救出できたけれど、岩の上に落ちたからすごい青あざができていたんだ。そういうことをインスピレーションにしてアーロが川に流された時のシーンができたんだよ」
とその時の経験を振り返ります。
実際に身体を張って体験したからこそ表現できるリアルな描写。
これは、ジョン・ラセターの信念でもあります。
「ジョン・ラセターはいつもリサーチについて話しているんだ。それは映画作りにおける彼の信条の一つなんだよ。良い映画を作るにはいつも徹底的なリサーチから始まると言っていた。だから僕もその方法を実践したんだ」(ピーター・ソーン監督)
ピクサーの作り手たちのあくなき情熱があるからこそ、人々の心を掴む感動的な物語を生み出すことができるのです。
監督たちが身体を張って創り上げた新しい世界。
『アーロと少年』は2016年3月12日(土)公開です。