2015年12月、ふるさと納税の寄付額が前年比約21倍に急増して話題を集めた茨城県大洗町。返礼品にアニメ「ガールズ&パンツァー」のグッズが加わったのが理由ではないかと注目されていましたが、このたび大洗町まちづくり推進課への取材で、納税者が実際に引き換えている返礼品の約55%がカニやあんこう鍋など魚介類であることが分かりました。ガルパングッズは4.6%で、寄付額急増の大きな理由は返礼品のなかでも食料品の人気にあったようです。
大洗町は昨年12月1日、寄付額の増加を狙ってもともと品数が少なかった返礼品に230品目を追加しました。町内に水産加工業者が多いことからカニのボイルやあんこう鍋、しらすなど魚介類を充実させたほか、干し芋といった加工食品、茨城のブランド肉。そして大洗町を舞台としたガルパンの関連アイテムも8品目、初めて返礼品に加えました。
結果、2015年4月から11月まで合わせて寄付の申し込みが約100件、額にして約1000万円だったのに対し、12月だけで約5500件、約1億6600万円に急増。翌年1月にメディアがこの変動ぶりを伝えたところ、ネットではファンによるガルパングッズ目当ての寄付が原因ではないかとウワサされました。その後寄付は1月が約400件・約900万円、2月が約300件・約900万円と、いずれも前年度(2014年4月〜2015年5月)の総額763万円を上回る金額が集まっています。
しかし制度の問題上、寄付者の間でどの返礼品に人気があるのかしばらく分かりませんでした。大洗町のふるさと納税は、寄付と同時に返礼品を選択するのではなく、寄付額に応じてポイントをもらい、そのポイントで返礼品を交換できる仕組み。12月から寄付額は増えているものの、実際に寄付者はどの返礼品を交換しているかは、2月中旬ごろにならないと割り出せなかったのです。
今回の取材で判明したのは、2015年12月1日から2016年3月10日までに寄付者がポイントで交換した返礼品、計5340品の内訳。55.3%が魚介類、11.7%が加工食品、9.6%が肉類、4.8%が野菜・果物、4.6%が酒類。ガルパングッズは4.3%と、6番人気でした。もともとオリジナルグッズなど希少性が高い品があるわけではなかったので、納得できる結果ともいえます。
まちづくり推進課の担当者は、「もともと全国のふるさと納税の返礼品ではカニの人気が高く、大洗町でも交換する人が圧倒的に多いようです」とコメント。12月以降の寄付額急増の理由は、魚介類を中心に食料系の返礼品が充実するようになったからではないかと推察しています。
一方、現在までに返礼品として選ばれたガルパングッズは約230件。いずれも相当金額が1〜5万円であることを考慮すると、グッズ目当てで最低でも約230万円が集まったことになります。100セット限定の1万円の品や、30セット限定の5万円の品はすでに売り切れており、なかにはガルパングッズすべてを1人で交換する人もいたとのこと。ガルパン関連の返礼品への問い合わせも増えており、食品系には及ばないものの、「ガルパングッズ目当てで多くの寄付が集まっているのは確かです」と担当者は話します。
「劇場版の公開に合わせて、大学の春休みシーズンもあってか、最近また大洗町を歩く若い人が増えている気がします。調べきれてはいませんが、ガルパンを通して大洗町に興味を持ち、ふるさと納税で寄付してほかの返礼品を選択している人もきっといるはず。今後も作品を通して多くの方に大洗町を好きになってもらえたらうれしいです」(担当者)