情報セキュリティー企業の「デジタルアーツ」が、未成年の携帯電話やスマートフォン(スマホ)の利用実態調査結果を公表した。男子高校生の約8割、女子高校生の約7割がインターネット上での小遣い稼ぎの経験があると回答したという。
○スマホ所有率は7割、利用料に負担感も
調査は2016年1月8日から1月14日までの期間にインターネット上で実施。携帯電話かスマホを持つ全国の10歳から18歳の男女と0歳から9歳の子どもを持つ保護者計1,213人から回答を得た。
調査によると、10歳から18歳のスマホ所有率は70.6%。うち小学校高学年(10歳から12歳)が37.9%、中学生が76.2%、高校生が97.6%で、特に女子中学生の所有率が増加しているという。
ネット上で小遣い稼ぎをしたことがあると回答した子どもは、全体では30.7%だったが、男子高校生では79.6%、女子高校生では68.5%に上った。月平均の収入は86.8%が「1万円未満」と回答。月々の利用料を負担に感じている子どもが30.1%いることも分かった。
○「ポイント交換や動画投稿で小遣い」、危険性は?
子どもたちはどのような方法で小遣い稼ぎをしているのだろうか。デジタルアーツによると、最も回答が多かった方法は「ポイント交換」(76.8%)で、いわゆるポイントサイトやお小遣いサイトの利用だと考えられるという。企業のキャンペーンに登録したり、アンケートに回答したり、通信販売やゲームを利用することで得られるポイントをコツコツ貯め、換金したり商品券に換えたりすることができる。
次に多かったのは「中古品の販売」(12.6%)だ。いま人気の高いフリマアプリ「メルカリ」や「ヤフーオークション」などのサイトで、いらなくなった古着や雑貨などを販売しているとみられる。
さらに「写真・動画の投稿または再生・閲覧」(8.9%)が続いた。これには「YouTube」など動画サイトのほか、画像・動画の共有アプリ「写真袋」での小遣い稼ぎも推測されるという。「写真袋」は、共有された画像などを、課金すれば誰でもが閲覧できるサービスを提供。課金の一部は投稿者の収入となっていた。同サイトをめぐっては、投稿された児童ポルノ画像を放置していたとして、運営会社社長が逮捕される事件もあった。そのほかには、企業CMを閲覧することでアプリ内コインをもらえる「LINEフリーコインVideo」などもある。
ネット上での小遣い稼ぎについて、ITジャーナリストの高橋暁子さんは「暇つぶしにやってお金がもらえるならラッキーという感覚でやっている子どもが多い」と指摘する。しかし、小遣い稼ぎをする過程では不特定多数のサイトに個人情報を登録する必要も出てくる。そのため「業者から勧誘の電話やメールが来る」「大量のスパムが届く」などの被害が多数出ているという。
また、特に女子中高生の場合、性犯罪に巻き込まれる心配もあるので、安易に個人情報や写真を公開させないことが重要だ。高橋さんは「個人情報は安くないということを子どものうちから親がしっかり指導すべきだ。子どもがスマホをどのように使っているのか日ごろから目を配り、よく話し合ってほしい」と話している。
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(菊地由美子)