2015年12月から軟調に推移する日経平均株価だが、株価が下落したことで配当利回りは上昇している。日本の上場企業は約3600社、実にこのうちの約2400社が3月末に本決算を迎える。折しも3月決算企業の配当権利取り日(3月28日)が近づいており、1月末から2月にかけて証券会社のアナリストは各種レポートで高配当銘柄を紹介している。株価が割安になった高配当銘柄は、高い配当のみならず、配当狙いに伴う株価上昇も狙える。そこで今回は、岡三オンライン証券のトレードツール「岡三ネットトレーダープレミアム」を使い、アナリストレポートに掲載された中からさらに有望な銘柄を絞り込む方法をご紹介しよう。
では最近、なぜアナリストたちは高配当銘柄に注目しているのか。証券会社のレポートから、そのロジックから紹介しよう。
「リスクオフ(株式などのリスクの高い資産から国債などに資金を移すこと。つまり株価が下落している)局面ではキャピタルゲイン(値上がり益)よりもインカムゲイン(利子、配当収入等)が選好される傾向」(岡三証券)が指摘されている。
また、国内企業は株主還元策を強化しており、自社株買いをする企業のニュースも多い(日産自動車の上限4000億円など)。東証1部の予想配当利回りは上昇しており、3月4日時点では1.81%となっている。
さらに、日銀の「マイナス金利」導入により、低下する長期金利と株の配当利回り差(スプレッド)が開き、株式投資の魅力がアップしている点も注目されている。「長期国債の金利低下に伴い予想配当利回りと長期金利のスプレッドは約4年ぶりの高水準まで拡大し、日本株の割安感が強い」(岡三証券)
そして、「2016年度の運用計画では、国債よりも高配当利回り株への投資を検討する地銀や保険など金融機関が増える」(みずほ証券)と予想されている。
ではどういった銘柄に注目するべきなのか?
「下方修正が出ている外需企業よりは内需系」(SMBC日興証券)がひとつの注目ポイントだ。また、「好業績」もポイントになる。
SBI証券では「業績面でも不安が少ない5銘柄」をピックアップし、岡三証券や大和証券は「連続増配銘柄」に注目している。「連続増配企業は業績面で安心感と、経営者の自信を示す」(岡三証券)。大和証券は「好業績、2期連続増配予想」の銘柄を選んでいる。
ただし、注意点もある。
「総合商社のように業績減速リスクが高い銘柄には注意」(岡三証券)。最近の株安の原因となっている「資源価格の下落」「中国経済の減速」「日銀のマイナス金利導入」に関連して大きく売り込まれている銘柄に投資する場合は、注意が必要だ。
ここまでコメントを引用したレポートについて【図表1】にまとめた。
上記のレポートではのべ103銘柄が紹介されており、どれも有望な銘柄に思える。しかし、全部を買うことはできない。そこで、岡三オンライン証券の取引ツール「岡三ネットトレーダープレミアム」(以下、岡三プレミアム)を活用し、短時間でさまざまな角度から銘柄チェックをし。より良い銘柄を絞り込んでみよう。
まずは「株価ボード」への銘柄登録から【図表2】。ちょっと手間に思えるかもしれないが、この作業だけやってしまえば、常に最新株価で銘柄分析が可能になる。登録は銘柄コードを入力するだけでOKだ。
岡三プレミアムでは、株価ボードとさまざまな投資情報ツールを連携できる。そのひとつが「企業分析ナビ」【図表3】だ。「企業分析ナビ」を使えば、予想配当利回り、目標株価、アナリストのコンセンサスレーティング、銘柄関連ニュースなどが同時にチェックできる。
「企業分析ナビ」の画面右上の番号を株価ボードと揃えることで、株価ボードに登録された銘柄をクリックすれば、「企業分析ナビ」でも自動的に同様の銘柄が表示されるしくみだ。そこで、株価ボードに登録された銘柄を次々にクリックしていけば、一気に銘柄チェックができる。
では、4つのチェックポイントで銘柄を探してみたのでご紹介しよう。
【チェックポイント1】目標株価との乖離率が高い⇒3銘柄
まず、好配当銘柄の中でもアナリストの目標株価との乖離率の高い3月決算の銘柄を探してみた【図表4】(現在値との乖離率は【図表3】の画面の下の方に表示されている)。高乖離率=株価の上昇余地が大きく割安と考えられるからだ。
【図表4】目標株価との乖離率が高い高配当銘柄銘柄名(コード)予想配当利回り乖離率ピックアップ条件最新株価1ただし、乖離率が大きい、ということはそれなりの理由があるかもしれない。たとえば、太平洋セメント(5233)は2月9日に下方修正を出しており、大きく売り込まれた状態だ。また、SBIホールディングス(8473)は高乖離率だが、目標株価を出しているアナリストが1名しかいないため、参考として【図表4】に掲載した。
【チェックポイント2】2月以降にレーティングが上昇⇒3銘柄
「企業分析ナビ」ではコンセンサスレーティング(ロイター)の値や変化もわかる。コンセンサスとは複数のアナリスト評価の平均を意味している。2月以降に高レーティングに変化した銘柄が【図表5】。最近の軟調な相場展開でもアナリストの評価がアップしている銘柄だ。
【図表5】2月以降にレーティングが「4」以上に上昇した銘柄銘柄名(コード)予想配当利回りコンセンサスレーティング変化ピックアップ条件最新株価1なお、東芝プラントシステム(1983)は、レーティング5だが、評価するアナリストが1名しかいなかったため「参考」として掲載した。
【チェックポイント3】4%超の高配当利回り⇒3銘柄
配当利回りが4%台と非常に高い銘柄が見つかった【図表6】。ただし、1位が銀行株のみずほFG(8411)という点で心配する人もいるだろう。というのも、日銀がマイナス金利導入をしたことで、銀行株が急落したからだ。
【図表6】高配当利回りランキング銘柄名(コード)予想配当利回りピックアップ条件最新株価1銀行株については、楽天証券の窪田真之氏の最近のレポートが参考になるだろう。日銀のマイナス金利導入は「収益の分散化が進んでいる3メガ銀行へのマイナス影響は相対的に小さい」「今、銀行株を保有するならば、予想配当利回りが高く、収益が相対的に安定的な3メガ銀行の方が良い」(「3分でわかる!今日の投資戦略」2/23)。
2位は大和証券グループ本社(8601)だが、野村ホールディングス(8604)3.6%、SBIホールディングス(8473)も3.45%と、証券株の高配当利回りが目立った。
【チェックポイント4】低信用倍率で好配当⇒3銘柄
今回チェックした高配当利回り銘柄は、全般的に下落基調の銘柄が多かった。配当が高いからと安易に手を出せば、すぐに含み損ができてせっかくの高配当が相殺されかねない。
そこで、岡三プレミアムの株価ボードに登録した高配当銘柄を、取り組みのいい(低信用倍率)の順番に並び替えた。信用倍率とは「信用買残/信用売残」で算出される。信用倍率が低い銘柄は信用買いに比べ、信用売りの残高比率が高いことを意味している。信用売りが多ければ将来、決済買いが行われるため、株価が下がりにくい(上がりやすい)と考えられている。
岡三プレミアムの株価ボードの特長は、表示項目の多さだ。信用倍率、貸借倍率のほか、決算日、配当落ち日、PER、PBRなどの指標も選択して一覧表示ができる上に、昇順・降順で並び替えも可能だ。【図表2】は信用倍率の低い順番に並び替えた状態だ。
この状態で「企業分析ナビ」を併用した。上から各銘柄をチェックして、低信用倍率かつ配当利回り3%以上の銘柄を発見した【図表7】。
【図表7】信用倍率が低く予想配当利回りが3%以上の銘柄銘柄名(コード)予想配当利回り信用倍率ピックアップ条件最新株価1番外編として2銘柄を紹介しよう。
SPK(7466)は18期連続増配銘柄でレーティングが5と高く(ただし、評価したアナリストは1名)、配当利回りも3.22%と高い。日立キャピタル(8586)は2期連続増益予想銘柄で配当利回りが3.71%と高く、目標株価との乖離率も+68.03%と割安感がある。
今回の高配当利回り銘柄は全般的に下落基調の銘柄が多いことは前にも述べたが、岡三プレミアムなら、チャートを一気にチェックできる。全体を一覧しながら、下げ止まった銘柄や上昇しはじめの銘柄を探せばいい。
方法は2つある。ひとつは、株価ボードの「複合」表示だ。【図表2】の上部に表示されている「複合」をクリックするだけで全銘柄をチャート表示にできる(全銘柄の板表示なども可能)。
もうひとつの方法は、株価ボードで複数選択した銘柄だけをチャート表示する「連結モード」という方法だ。試しにこの記事でピックアップした銘柄だけをチャート表示したのが【図表8】。チャート一覧表示ならば、上昇しはじめの銘柄もすばやく見つけられるだろう。
ここで紹介した銘柄以外にも期待が持てそうな銘柄は、まだまだある。また、3月の配当取りの時期に向けて、状況は変化していくだろう。ぜひ、岡三プレミアムの株価ボードを自分で活用し、最新情報をもとに自分なりの有望銘柄を発見していただきたい。
なお、高配当の割安株を買ったら、3月末に向けて株価が急騰し、値上がり益も狙えるケースもあるだろう。ただし、配当の権利が取れる翌日(権利落ち日:2016年3月は29日)になると、株価が急落することもあるので注意が必要だ。
株式売買手数料(指値)*手数料は税抜 口座開設10万円30万円50万円◆岡三オンライン証券99円350円350円【岡三オンライン証券のメリット】※「岡三ネットトレーダープレミアム」の利用条件:岡三オンライン証券口座の開設者。利用料金:980円(税込)/35日。初回60日分の利用料無料。無料使用条件:手数料計算期間(指定1カ月間)の手数料実績が980円以上。なお、記事中で紹介した「企業分析ナビ」は、無料の取引ツール「岡三ネットトレーダーWEB」でも使える。
※記事中の株価やデータは2月23日終値時点。