こんにちは、K松です。昨日は3月11日。東日本大震災から5年たちました。私はその前年あたりから、パチンコ・パチスロなど娯楽関連の仕事が増えていたのですが、この5年でパチンコ・パチスロを取り巻く環境は大きく変わりました。それは震災が影響するものも多かったです。そこで今回は、その変わった点と、今後どうなってほしいかという点を考えてみます。
まず、震災直後のことを思い出してみます。日本全体が「自粛」というムードに包まれた中、パチ・スロ界も同様でした。当時は大量に流されていた、新台のCMは自粛され、その後は業界の自主規制という形で、今もなお流されていません(ホールのCMとは別)。次に、数々の企業・個人が義援金を出し始める中、パチ・スロ界も義援金を出したり、ボランティアに参加する企業が相次ぎました。一方、被災地近辺のホールでは、一時は営業自粛でしたが、むしろ「被災者にちょっとでも娯楽を。地域のコミュニティーとしての役割も果たせる」ということで、比較的早く営業を再開したところも多かったと記憶しています。
夏場に向けて出てきたのが、電力消費による輪番休業です。原発がダメージを受け、電力不足が心配される中、大量の電力を消費するホールは、店舗外のネオンを消すなどしましたが、さらに各エリアで、順番に営業を休むという取り組みが実施されました。ただ、この節電も輪番休業の、残念ながら実施率100%とはならず、当時全国に1万2000店超あったホールの足並みをそろえるというのは、実に難しいのだなと思いました。また、一時は復調の兆しを見せていた遊技人口も、2011年は一気に減少しました。
それから1年たち、2年たち、もちろん完全に復興したとは言えませんが、一時は「復興バブル」なんていう言葉も見るようになり、少しずつ活気を取り戻し始め、それに伴いパチ・スロ界も通常運転へと戻り始めました。ただ、遊技人口については、スマホアプリに代表される別の娯楽の台頭もあり、震災とは関係なく減少傾向は止まっていないというところです。
さて、とても駆け足で振り返ったところで、今後についての話です。たとえば、先に述べた「地域のコミュニティーとしての役割」という部分。「被災者の方々にもささやか娯楽」を、という意味では、早めの営業再開は個人的に賛成でした。実際、その役割を果たしていたとも聞きます。ですが、今の状況は、たとえば生活保護受給者がパチ・スロをやることが問題視されたり、高射幸性の話が出たりと、少なくとも地域の方々が集まって気軽に楽しむ娯楽、という方向に進んでいないように見えます。
パチ・スロ界の被災地・被災者への支援は、5年たった今も継続しているものもあります。ですが、もう少し関わり方に工夫も欲しいところです。最近では、保育園の話題が出ていますが、地域に貢献するのであれば、ホールへの来場者向け託児施設ではなく、だれでも使える保育施設などへの貢献も増えてほしいところです。また、今なお仮設住宅で暮らしたり、職に困る人がいたりするのであれば、そんな方々を積極的に採用する動きもあったらいいなと思います。ざっと調べても、東北の主要駅にある大型チェーン店であれば、高額のアルバイトもすぐ見つかります。今どき珍しいかもしれませんが、昔は住み込みで働けたのもホールの特徴。1000台以上の大型ホールを作る際に、住める場所も作れないものか、なんてことも考えるわけです。
もともと、そのギャンブル要素から、決してイメージがいいとは言い切れないパチ・スロ界。近年は苦境でもありますが、他の娯楽業界を見渡せば、まだまだパワーはあります。震災に限った話ではないですが、地域への貢献や、高齢者との関わりなども求められているところ。偽善と言われることもあるかもしれませんが、どこぞの漫画では「やらない善より、やる偽善」というものが、名セリフと呼ばれています。これは、という取り組みが見つけられた時には、ぜひ話を聞いてみたいと思います。【K松】
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