これまで中国ではたびたび大規模な日本製品の不買運動が展開されてきた。最近では2012年の尖閣諸島(中国名:釣魚島)問題に端を発し、大規模な反日デモや不買運動が行われた。
ここ最近の中国では大規模デモは起きていないが、一部の中国人は今でも日本製品の不買を訴えている。そんななか、中国メディアの捜狐は、中国における日本製品の不買運動が「どれだけ意味がないものなのか」を解説する記事を掲載した。
記事は冒頭、2015年に中国人旅行客が日本で822億元(約1兆4000億円)もの消費を行ったと伝える一方、こうした中国人の爆買いを批判する愛国者たちが「日本製品不買、国産支持」のスローガンを叫ぶようになったと紹介。では実際に中国において日本製品の不買は可能なのだろうか。
続けて記事は、「日系車の不買をする中国人は、ドイツ車をドイツ人がすべて作っていると思っているのか?」と質問を提起し、ドイツ車にも日本企業の製品が数多く搭載されていると指摘。
また、ドイツ車のターボエンジンを絶賛する中国人に向けて、以前日本メーカーがF1で使用したターボエンジンが、あまりの性能の良さに使用禁止になった事例を伝えている。ほかにも、ロボットや高速鉄道、ファスナーなど、日本の技術が多くの製品に組み込まれている状況を説明した。
また、日本は1970年代後半から30年近くにわたって、中国に対して超低金利の円借款や、技術協力を行ってきた事実を伝えている。中国国内では日本による援助が広く報じられているとは言い難い状況で、日本がどれだけ中国を援助してきたかを知らない人たちも多いため、こうした事実を伝える記事は非常に珍しいものと言える。
最後に記事は「日本企業が持つ特許を一切使わずに経済を発展させ、技術を進歩させることは不可能だ」と論じている。同記事は日本に対して非常に好意的な内容が記されている。中国のネット上に「反日」ではなく、このような事実に基づく記事が多く掲載されるようになれば、日中関係も少しは改善するのではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)