日本の人口の53%以上が利用しているメッセージングアプリ「LINE」(参考:LINE 2016年4月-9月媒体資料)。日本ではすっかり定着しているが、世界的に見るとまだまだ定番といえるような存在ではないことをご存じだろうか? それでは、各国ではどのようなメッセージングアプリが人気なのだろう。統計をもとに、情報通信総合研究所副主任研究員の佐藤仁さんに世界のメッセージングアプリ事情について聞いた。
〈世界のアクティブユーザー数ランキング〉
※2016年1月時点、Statista調べ。()内はアクティブユーザー数
1位 WhatsApp(9億人)
2位 QQ(8億6000万人)
3位 Facebook Messenger(8億人)
4位 WeChat(6億5000万人)
5位 Skype(3億人)
6位 Viber(2億4900万人)
7位 LINE(2億1200万人)
8位 BBM(BlackBerry Messenger)(1億人)
9位 Kakao Talk(4800万人)
〈各国のダウンロード数上位2位のメッセージングアプリ〉
※2016年3月2日付、「AppAnnie」iPhone Social Networking部門調べ。メッセージングアプリのみ抜粋。すべてiOSでのDL数。
日本…1位LINE/2位Facebook Messenger
韓国…1位Kakao Talk/2位Facebook Messenger
中国…1位QQ/2位WeChat
タイ…1位LINE/2位Facebook Messenger
台湾…1位LINE/2位Facebook Messenger
インドネシア…1位WhatsApp/2位BBM
インド…1位WhatsApp/2位Facebook Messenger
ブラジル…1位WhatsApp/2位Facebook Messenger
南アフリカ…1位WhatsApp/2位Facebook Messenger
アメリカ…1位Facebook Messenger/2位WhatsApp
イギリス…1位WhatsApp/2位Facebook Messenger
世界最大のメッセージングアプリといって間違いないのは、2009年にアメリカで誕生した「WhatsApp」だ。アクティブユーザー数では堂々の1位、欧米・東南アジア・南米などを中心に各国のダウンロード数でも多くの国で1位、2位に入っている。今年2月には、月間アクティブユーザー数が10億人を突破したことを発表し、依然としてユーザー数を伸ばしている。
「WhatsAppは、スマホが普及する前からノキアのフィーチャーフォンやブラックベリーに対応していたため、当時からの利用者が多いんです。また、インドやアフリカなどの新興国では、いまでもフィーチャーフォンの利用者が多く、WhatsAppがダウンロード数で1位になっています」(佐藤さん)
2位「QQ」と4位「WeChat」は、いずれも中国のメッセージングアプリ。世界規模の「WhatsApp」に対し、ほぼ国内のユーザーだけで世界ランキング上位に入り込むとは、さすが、人口世界一の超大国だ。
「中国ではLINEやFacebookが利用できないため、自国のアプリが普及しています。近年では中国人が出稼ぎ労働者としてアフリカへ渡っていることもあり、中国とアフリカ間の通信を円滑にするため、アフリカではQQやWeChatの利用者も増えています」(佐藤さん)
日本の「LINE」や韓国の「Kakao Talk」も、「QQ」や「WeChat」と同じように自国で支持されているアプリだが、世界規模のランキングでは下位に位置している。しかし「LINE」は、「スタンプの種類とバリエーションが豊富」という理由で、タイや台湾での人気が高く、それぞれの国でダウンロード数1位になっている。
「メッセージングアプリは一緒に利用する相手がいて初めて成立するアプリ。そのため、当然ながら利用者がいないと普及していきません。逆に、利用者が多いアプリは、どんどん利用者が増えるでしょう」(佐藤さん)
いまのところ日本では、自国から生まれた「LINE」が一番人気だが、アクティブユーザー数3位の「Facebook Messenger」の利用者も多いのが特徴。
「人気の理由は、Facebook利用者の拡大と、その手軽さでしょう。Facebookにはアクセスしないけれど、Messengerは利用するという人が世界中で増えています。相手のLINEなど他のメッセージングアプリを知らなくても、Facebookで繋がっていればやり取りができますから」(佐藤さん)
海外に行くときや、海外の人と交流する際に参考にしてみてほしい。
(赤木一之/H14)
記事提供/『R25スマホ情報局』
※当記事は2016年03月13日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。