皮脂が多い男性はギトギト、ニキビができることに悩んでいる人が多いかもしれない。しかし、それは皮脂過多ではなく、乾燥肌が原因!?
顔のみならずボディの肌トラブルを招く、男性の乾燥肌の原因を探った。
■糖分が肌の水分保持力の邪魔をする!
男性の肌は皮脂が多いため、乾燥よりも脂による肌のテカりに気をつけている人は多いかもしれない。ところが、毎日のひげ剃りで口周りの肌が荒れて乾燥していたり、20代でも顔全体の潤(うるお)いが欠けている男性もまた多く見かける。
担当編集(28歳)も「おでこや頬の周りが乾燥するし、お酒を飲んだ翌朝は顔がパリッパリです…(涙)」と、アラサー男子の悩みを語る。
そんな男子の乾燥肌の悩みを解決すべく、美肌ドクターとして女性誌でも人気の美容皮膚科『恵比寿やすみクリニック』・佐藤やすみ院長を訪ねた。
「まず、お酒を飲んだ時にお肌が乾燥するのは、寝ている間にアルコールで体の水分が奪われているのかもしれません。アルコールには利尿作用や血行促進効果で体温が高くなる場合もありますから。もしくは、飲みながら炭水化物や脂肪分の多い食べ物を摂っているのではないでしょうか」
なんと! 飲み過ぎは乾燥肌を招くのだ。ところが、問題はアルコールばかりじゃない。
「糖分を摂り過ぎると、皮脂分泌量が増えるうえに肌の水分保持力も失われます。油っぽい食べ物より、糖分を摂った時のほうがニキビができやすくなります」
空腹時に甘いものを食べて血糖値が急激に上がるのも、実は肌に負担をかけてニキビなどのトラブルを起こしやすくなるそうだ。ってことは、ダイエットのために低糖質ダイエットをする人がいるけど、それって肌にとっても…?
「いいと思います。私も肌のために糖質を控えたり、食べる順番を工夫して、血糖値の上昇が穏やかになるようにしていますよ」
■角質を気にしなければ、ガサガサ肌男子へまっしぐら!
ところで、肌が乾燥した時に化粧水を塗っても、その乾燥が解消されない経験はないだろうか? その理由は、乾燥肌の原因による。
「水分を肌がいかに保てるかの差が、乾燥という症状になって出てきます。角質が水分を保てないほどダメージを受けているため、化粧水を塗ればすぐに乾燥肌が解消されるものではありません」
肌の上層部にあるレンガのように積み上がった“角質”は、本来その表面が滑らかに整っている。そのため、水分が逃げずに保たれ、ひいては潤っている肌となるのだ。
「ところが、男性の場合は毎日のひげ剃りで口周りの角質を削ってしまいます。洗顔後はタオルでゴシゴシふいていたり、指でかいたり…。乱暴に扱うことで角質が乱れ、ささくれのようになるため、バリア機能が低下し水分を保持できなくなります。そうなると水分は逃げていくばかりで、結果、乾燥肌を招きやすくなるのです」
さらに、その乱れた角質は春に悲劇をもたらす。
「角質がダメージを受けて、ささくれだつことにより、肌に花粉がつきやすくなります。アレルギーを持っている場合は接触性皮膚炎を引き起こし、余計に肌が荒れて乾燥を増長させます」
しかも、春は1年で最も紫外線が多くなるシーズンでもある。
「春は優しい陽の光ですから刺激を感じないかもしれませんが、最も紫外線が強いのは5月。暖かくなったからと、日焼け止めを塗らずに野球やゴルフなどに興じると、やはり肌に強いダメージを受けて乾燥しやすくなります」
■乾燥肌が皮脂の過多を招きニキビを作る!?
乾燥といえば顔だけじゃない。体も顔と同じ肌なわけだから乾燥もするし、顔よりもかゆみを感じる場合もある。
「まず極端なダイエットをして油を摂っていない場合は、セラミドなど細胞間脂質を作る材料がなくなって乾燥肌を招きます。また、乾燥から背中ニキビができる人が意外と多いのです」
ニキビは皮脂が過多でできるのでは? 意外な印象を受けるが、肌のこんなシステムによりニキビができてしまうという。
「肌は、乾燥により水分が少なったことを補うために、余計に皮脂を出そうとします」
実は、人間は体の中心ほど皮脂が出やすく、外に向かうほど皮脂は出ないようになっているという。そのため、背中はニキビができやすい場所ともいえるが、原因は皮脂が過多なだけでなく乾燥の場合もあるということ。
「なので、担当編集さんのように頬が乾燥するというのは、油分も水分も足りていないことになります。頬でも外側と内側で全然違うのですが、もし外側だとしたら…極度な乾燥肌になりますね」
中心部が乾燥している場合は、今すぐケアが必要だ。そこで次回は男の乾燥肌ケアを教えてもらう!
■取材協力/佐藤やすみ先生
順天堂大学病院研修後、都内スキンケアクリニック院長を経て、2011年に『恵比寿やすみクリニック』を開業。美容皮膚科、レーザー治療、各種注入療法など2万件を超える経験を持つ。
(取材・文/渡邉裕美 撮影/五十嵐和博)