NHKで誰もが知っているアニメと言えば「忍たま乱太郎」('93年~)や、「おじゃる丸」('98年~)といった子供から大人まで幅広く愛されているもの。
【写真を見る】若者を中心に絶大な人気を誇る「ラブライブ!」もNHK Eテレで放送中!
また、「ふしぎの海のナディア」('90~'91年)や、「カードキャプターさくら」('98~'99年)、「十二国記」('02~'03年)など、今なお語り継がれる名作や、「ログ・ホライズン」('13~'15年)、「キングダム」('12~'14年)などの人気アニメも放送してきた。
そんな中、NHKが以前に民放で制作された人気アニメを放送しだしたことが話題となっている。
NHKではなぜ、民放で制作されたアニメを放送するようになったのか、日本のアニメ文化へどのような意識があるのか、NHKがアニメに力を入れている理由をNHK Eテレ、NHK BSプレミアムの番組、編成担当者にインタビューを敢行した。
――'15年には「進撃の巨人」('13年MBSほか)、'16年には「ラブライブ!」('13年、'14年、TOKYO MXほか)や「けいおん!」('09年、'10年TBSほか)と、NHKが民放で放送されたアニメ作品を多く放送することになったきっかけは。
NHKではこれまで数多くのアニメ番組を放送してきましたが、世の中で多くの関心を集めている優れたコンテンツを、積極的に全国の視聴者の皆さまに紹介していくことも公共放送の役割の一つであると思います。自局制作の番組はもちろんですが、それは他局制作のアニメや海外作品、ドキュメンタリー番組などであっても同じです。今回はたまたまアニメ番組がタイミング的に重なったようですね。
それと、アニメはもはや特定のアニメファンだけのものではなく、日本人であれば誰もが何らかの形でアニメに触れて楽しんだ経験を持っていると思います。言うなればアニメは日本という国を代表する重要な文化の一つなのではないでしょうか。アニメの重要性が年々高まっているのは確かですね。
昨年、世の中で話題となって人気を集めたコンテンツの代表の一つに「ラブライブ!」がありました。「ラブライブ!」は、男女を問わず人気があって、学園ドラマの中に友情や音楽、かわいいキャラクターなど、今の若い人たちが好む要素が凝縮されています。NHK Eテレをご覧になっている若い世代の視聴者の皆さまにも楽しんでいただけると感じました。
また、普段あまりNHKをご覧にならない方々にも、こうした親しみやすいアニメ番組をきっかけとして、Eテレの他の面白い番組にもたくさん気付いてもらえるとうれしいですね。
ですが、以前からNHKではBSを中心に、民放で放送されたアニメを多く放送しているんです。「蟲師」('05~'06年、フジテレビほか)であったり、「巌窟王」('04~'05年、テレビ朝日ほか)、「カウボーイビバップ」('98年テレビ東京ほか)がそうです。
――現在放送されている「進撃の巨人」には残虐なシーンも含まれていますが。NHKとして問題はなかったのですか?
「進撃の巨人」の根底にある、限られた厳しい状況で、どう生きていくのかというテーマがあり、ただ面白い、おかしいだったら放送はしない。テーマ性の部分がNHKに合うのか合わないのかということが重要です。
とはいえ「進撃の巨人」は描写的な残酷さはあるので、編成時間は遅めになりましたが。話題性もある作品ですので、10代、20代などの若い世代の方に向けて、「進撃の巨人」の放送を決定しました。
――こうした他局制作のアニメを放送しての反響はいかがですか。
「進撃の巨人」は狙った層に届いているなと実感しています。反感なども全然ありません。年配の方から「孫に録画してほしいと言われたんだが、どうしたらいい」と相談の電話は来ました(笑)。
ほとんどがこういった問い合わせです。遅い時間帯の放送なので「いつやってる?」とか、「再放送はないの?」とかですね。
「美少女戦士セーラームーン」('92~'93年、テレビ朝日ほか)は親子で見ていただけているということもあり、それを受けて続編の「美少女戦士セーラームーンR」('93~94年、テレビ朝日ほか)の放送もすることになりました。
――ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」をはじめ、「テニスの王子様」を舞台化した2.5次元ミュージカルが人気ですが、今後NHKではミュージカルの放送予定はありますか。
「忍たま乱太郎」で2.5次元ミュージカルはやっていますが、放送するとどうなるんでしょう。放送してみるか検討してみます。