学費を払うのが難しい大学生にとって奨学金は重要な存在。しかし、多くの奨学金が返済義務のない給付型ではなく、貸与型であるということから、「卒業した途端に借金を抱えてしまう」ケースが多いと、問題にもなっている。
ネット上でも、奨学金の返済に悩む新社会人は多く、ツイッターでは、
「あー4月から奨学金の返済しなきゃ…まじで引っ越せないかもなー」
などの報告が見つかる。
そんななか「“奨学金”という名前がよくないのでは?」との意見も聞こえてくる。
「日本の奨学金ってそんな名前を使わず学費ローンとかにすれば良いだけなんじゃないかと思うんだがどうなんだろう」
と、「奨学金」は返済義務があるイメージと結びつきにくいため、「ローン」などの言葉を使うべきだとの声が多いのだ。
独立行政法人・日本学生支援機構では、無利子型の奨学金を「第一種奨学金」、有利子型を「第二種奨学金」と区分している。第一種の方は、支給を受けるための成績基準が厳しいが、第二種の方は緩やかであるため、有利子型の第二種を利用する学生が多い。利息を支払う義務を負うことを考えると、一般的な「借金」に近い仕組みであるのは間違いではないだろう。「奨学金」という言葉と現実とのあいだにギャップがあることは事実といえそうだ。
3月14日に行われた参議院予算委員会で安倍晋三首相は、返済義務のない給付型奨学金の導入に対して、財源の確保や対象者の選定が難しいとして「さらに検討が必要」と慎重な姿勢を見せた。一方で、卒業後の所得に応じて月々の返済額が決まる「所得連動返還型奨学金制度」を2017年4月入学者から導入する方針を表明。これによって「奨学金のせいで卒業即借金地獄」というケースが減ればいいのだが、果たして。
※当記事は2016年03月16日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。