2015年は日本を訪れる中国人旅行客による爆買いが大きな注目を集めた。中国政府は爆買いに対して危機感を抱き、16年1月から「銀聯カード」の国外における現金引き出しの上限を年10万元(約170万円)までに設定したが、中国人旅行客の国外における消費を完全に止めることは不可能だ。
中国メディアの捜狐はこのほど、中国人旅行客による爆買いは中国国内でも大きな注目を集め、一部では「日本を潤わせている」として批判の声があがったとし、なぜ中国政府は日本での爆買いを禁止しないのかを論じる記事を掲載した。
記事は、中国政府が中国人旅行客の爆買いを禁止しない理由は非常に単純だとし、それは「中国が開放政策を国策としているから」だと主張。開放とはつまりトウ小平による対外開放政策(改革開放)のことであり、開放には国外への旅行も含まれると指摘。旅行産業は中国の核心的利益に含まれるものでもなく、さらに中国が国民の日本旅行を禁止すれば日中関係の矛盾は激化し、国際社会からも批判されることになるだろうと論じた。
一方、日本への旅行を間接的に制限する方法はないわけではないとし、その例として中国当局が日本行きの航空便だけ発着時間を深夜に設定するという方法や、税関での検査を厳格化し、日本で爆買いしたすべての商品について、持ち込み制限の超過分に税金を課すことなどの方法を挙げている。
尖閣諸島(中国名:釣魚島)での衝突事故が発生した際、中国は直接的に訪日旅行を禁じなかったものの、中国では訪日旅行の販売手続きを凍結する旅行代理店が相次いだ。今後も日中関係が悪化すれば、中国が爆買いに対する対抗措置を講じる可能性はあり、小売やホテル業界も中国人旅行客に過度に依存するのは危険だと言えるだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)