靖国神社(東京都千代田区)で昨年11月に爆発音がした事件で、韓国籍の全昶漢容疑者(28)が「劣等感があり、他人から認められたかった」という趣旨の動機を供述していることが16日、警視庁公安部への取材で分かった。東京地検は同日、火薬類取締法違反(輸入)と関税法違反(輸入未遂)の罪で追起訴。事件をめぐる捜査は事実上終結した。
公安部によると、全容疑者は両親の離婚や高校を中退したことに「劣等感を持っていた」と説明。20歳から韓国の軍隊で6年間勤務した後は定職に就かず、車で各地を転々とする生活を送った。
靖国神社へのA級戦犯合祀(ごうし)をめぐる日本政府の対応に怒りを覚え、「騒ぎを起こせば他人から認められ、満足や達成感を得られるのではないか」と考えて事件を計画。1、2カ月前からインターネットでパイプ爆弾の作り方などを調べ、材料を購入した。
山の中で燃焼実験を複数回行った上で昨年11月に来日し、神社のトイレに時限式の発火装置を設置。燃焼後に帰国したが、「ネット上で自分のしたことがよく書かれていない」と感じ、今度は神社本殿に圧力鍋爆弾を仕掛けようと考え、約1.4キロの火薬などを持って12月に再来日した。
「自分のしたことは誤りだった」と反省の弁も述べているという。