大阪・日本橋に、300種類のご当地インスタントラーメンを取りそろえる「インスタントラーメンやかん亭さくら総本店」という店がある。お店ではこんなにたくさんの種類が存在するのかと驚くほど数多くのインスタントラーメン(扱われているのは主に「袋めん」タイプの商品)を直接購入でき、その場で食べることもできて、マニアの聖地となっている。
その「インスタントラーメンやかん亭さくら総本店」を経営する大和イチロウ氏は、これまでに1万食ものインスタントラーメンを食べてきたという専門家。1万食というと、1日1個、毎日食べ続けたとしても27年以上だ(いま電卓で計算しました)。この数字だけでも凄みを感じていただけると思う。
・「タラタラしてんじゃねーよ(よっちゃん食品工業)」×醤油ラーメン
ちょっとピリ辛なタレで味付けされたタラのおやつ。酒のつまみとしても有能な定番駄菓子である。これを醤油ラーメンにダーッと振りかける。入れてすぐはただ単に「ラーメンの中に間違って落っこちてしまった『タラタラしてんじゃねーよ』」といった感じなのだが、スープが沁みて少ししなっとしたぐらいまで待って食べると確かにこれはうまい。海鮮系のカップラーメンに入っているイカっぽい食感で、また、タレがスープの中に溶け込み、ラーメン全体の味わいを奥深くしてくれるようにすら感じるのだ。
ちなみにこの「タラタラしてんじゃねーよ」のトッピングはカップタイプのインスタントラーメンでも試してみたのだが、例えば日清カップヌードルのシーフードヌードルに足してみるとあまりの違和感のなさに驚くほどであった。お湯を注ぐ前にカップに入れておくのがおすすめである。「タラタラしてんじゃねーよ」は最近ではコンビニでも売られているので、ちょい足しの具材としてインスタントラーメンと一緒に買うスタイルを提案したい。
・「うまい棒 めんたい味(やおきん)」×豚骨ラーメン
・「うまい棒 チーズ味(やおきん)」×豚骨ラーメン
大和イチロウ氏の「うまい棒は簡単に"味変"が楽しめる万能調味料なんですよ」という言葉通り、うまい棒を砕いてラーメンに入れるだけで驚きの変化が。今回は「めんたい味」と「チーズ味」を試したのだが、どちらも豚骨スープとの相性が最高で、これは普段からやり続けるしかない!と心に誓った。だって安いし!うまい棒には様々なフレーバーがあるし、想像しただけで気が遠くなるぐらいの組み合わせが試せそうである。
・「ビッグカツ(菓道)」×辛い系ラーメン×卵×海苔
これまた野性味あふれる組み合わせだ。できあがったラーメンにビッグカツを乗せる瞬間、思わず笑ってしまった。しかし、これもまた予想を超えてくるうまさであった。カツを事前に食べやすいサイズに切っておくと、より美味しさを感じやすいかも。辛いスープと溶き卵に絡まったカツは、最初から当然ここに存在していたかのような必然性を感じさせる。しなしなになった衣がまた妙にうまい。
・「蒲焼さん太郎(菓道)」×醤油ラーメン
「"うなぎラーメン"になりますよ!」という大和氏の言葉に半信半疑ではあったのだが、これもまたなかなかうまい。「タラタラしてんじゃねーよ」や「うまい棒」の時に感じた、お菓子のフレーバーがスープに溶け出して味わいに変化を与えるという相互作用がここでも起きている気がした。何も入れてない醤油ラーメンより明らかにスープがうまいのである。また「蒲焼さん太郎」自体の食感もスープに浸ってちょうどよい柔らかさになって美味。チャーシューの代わりを堂々とつとめられる存在だ。
・「バター醤油味のポテトチップス」×塩ラーメン
これまでの駄菓子トッピングの数々に比べると若干高級な部類に入るポテトチップストッピングだ。バター醤油の風味が塩スープを凝った味わいに押し上げてくれる。ポテチはやわやわにして味わいたい。今回はそのまま入れたのだが、袋の中で細かく割ってから入れた方がより融合性が高まるのかも。
・「シュークリーム」×味噌ラーメン
最後となった組み合わせは、今回最も予想がつきにくかったシュークリームトッピング。「ただ、入れすぎると大変なことになります」という大和氏の言葉にかなり不安を覚えながら試したのだが、ミニシュークリーム2個でも少し多すぎたかもしれない。「しょっぱいスープに浸したシュークリーム」になってしまった。なかなか難易度が高い。小さめのを1個入れ、よくかき混ぜるのがいいかも……。
ドキドキしながら試した駄菓子ラーメンだったが、個人的に「タラタラしてんじゃねーよ」と「うまい棒」あたりは万人に胸を張っておすすめしたいトッピングだった。いつものインスタントラーメンに少し飽きてしまったという人はぜひやってみて欲しい!
取材協力
(スズキナオ)