CG(コンピューターグラフィックス)で裸の女児をリアルに描いた作品が「児童ポルノ」にあたるかを巡る裁判で、東京地裁は3月15日、作品の一部を児童ポルノと認定。有罪判決が出たことで、波紋が広がっている。
児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で有罪判決を受けたのは、岐阜県在住のグラフィックデザイナーの男性だ。男性は2013年7月、裸の少女の写真を素材にCGでリアルな作品を描き、これをネットで販売。男性は「創作物である」として無罪を主張したが、東京地裁は作品34点のうち3点について児童ポルノと認定し、懲役1年、執行猶予3年、罰金30万円の判決を下した。
この件を報じた朝日デジタルの記事「裸の女児CG児童ポルノ?創作物? 『実在する』は有罪」によれば、今回の裁判の争点は、「CGで描かれた少女が、実在の少女を描いたものなのか」ということだ。現在の法律では、架空の少女を描いたものであれば処罰の対象外だが、裁判所が実在の児童と認定すれば“アウト”。裁判の過程では、その少女は実在するのか、描かれた少女は創作なのか・トレースなのか、さらに素材となった少女が18歳以上なのかどうかなどについて検討がなされた。
児童買春・ポルノ禁止法の趣旨は、子どもを性暴力から守ることだ。それゆえ今回の判決について、ツイッターには、
「有罪当然だろ」
と、裁判所の判決を支持する声が多数あがっている。しかし、“あくまでも創作物である”という男性の主張が認められなかったため、
「非実在がついに有罪に…」
といったコメントも登場したほか、
「モデル本人を描いたと判断したポイントが気になるので誰か弁護士さん解説してくれるといいなあ。控訴はするのだろうか」
など、判決のポイントをより明確に知りたい、という人も多くいる。
なお、児童ポルノと認定された作品について、裁判官は「元の写真に極力似せようとしており、写真と比べ悪質性が低いとは言えない」と述べている。この事件がきっかけで表現規制が進むことを危惧する声もあがっているが、まずは「創作か否か」という線引きを明確にすべきだろう。
※当記事は2016年03月18日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。