中国では、結婚記念写真は結婚式のだいぶ前に撮るのが一般的。写真館でさまざまな衣装に着替えて撮影したり、風景のよい街角や観光名所などでは、ウエディングドレスとスーツ姿のカップルがカメラマンの前でポーズを取る姿もよく見かける。中には、わざわざ海外リゾートへ出かけて撮影する富裕層もいるほどだ。
遼寧省瀋陽市に住む女性・嬌さんもそのひとり。今年5月に結婚式を控え、婚約者と共に地元の写真館で結婚記念写真を撮影したのは1月。ところが翌日、嬌さんは幸せな日々から奈落の底に落とされた。「瀋陽晩報」(3月10日付)などが、その様子を伝えた。
朝起きると顔にかゆみを感じ、頬に手を当てると、皮膚がボロボロとこぼれ落ちてくる。嬌さんは恐る恐る鏡をのぞくと、そこに映し出された自分の顔を見て驚愕した。
鏡の向こうにいたのは、まるで別人。顔はパンパンに膨れ、皮膚が真っ赤に腫れていたのだ。まぶたもふさがり、目などはほとんど細い線にしか見えなかった。「その時の私の顔は、まるでブタみたいに腫れていた」と嬌さんは言う。撮影の翌日だっただけに、これは写真館がメイクに使った化粧品が原因でかぶれてしまったのは明らかだった。
すぐさま写真館に行ってその顔を見せると、店員は親切に病院まで付き添ったという。医師の診断は化粧品アレルギーによる皮膚炎。その時の治療費に2,800元(約4万8,000円)強かかり、写真館側は3,000元(約5万円)を慰謝料として支払うことに同意したという。
ところが、皮膚の回復は遅く、治療費もかさんでいく。これまでに1万元(約17万円)近くかかったが、写真館側は3,000元以上の賠償金を支払うことを拒否したという。その対応に怒った嬌さんは、写真館側に5万元(約85万円)の損害賠償を要求した。
さらに困った問題も起こっていた。もともとは5月20日に式を挙げる予定だったが、医師によると、それまでに完治する見込みはほぼないという。しかも、しばらく化粧をすることが禁じられたため、たとえ治療が間に合ったとしても、式の際にメイクすることができない。仕方なく嬌さんは、式を延期することに決めた。
「それだけじゃないのよ。治療のためにホルモン剤を飲んだせいで、5キロも太っちゃったのよ!」と、嬌さんは目に涙をためて怒りをあらわにすり。
記事によると、結婚記念写真を撮る際、多くのカップルは写真館が使う化粧品が正規のブランドのものか心配しているという。さらには、メイクの際に使われる化粧道具も衛生の面で問題があるところもあるという。中国メディアは写真館での撮影の際、化粧品は自分の皮膚に合ったものを持参することを勧めている。
(文=佐久間賢三)