「中国の夢」――。中国の習近平国家主席が掲げているこのスローガンは、中国が米国のような超大国になることを目指すものと言って良いが、目標実現のために中国は今後どのように日本と対峙するのだろうか。中国メディアの新浪は中国国防大学のある教授の見解を紹介している。
記事は中国が超大国を目指す道のりにおいて、日本は「障害」であるという見方を示している。そしてもし日本との間に軍事衝突が生じたと仮定し、「これを制することができれば地政学的な意味で日本が作り出している矛盾を取り除くことができる」と主張している。
この矛盾とは領土をめぐる対立や日本が米国との友好関係によって及ぼすアジアへの影響力が含まれるだろう。つまり中国が超大国を目指す道のりにおいて障害となる様々な要因だ。さらに記事はもし軍事衝突が生じて中国が日本を圧倒するなら、米国や欧州諸国家に中国を抑制しようとするのは無駄だということを思い知らせることができるとも主張している。したがって中国からすれば、日本との軍事衝突は「絶対に避けなくてはならないものではない」と論じた。
しかし現時点で日本と軍事衝突することは中国にとって「最大の利益」をもたらさないと分析。その理由は、米国がアジア回帰を重視しているため日本を支援する可能性が大きいためだと説明。そして現在の中国は日米同盟の力に拮抗できるほど強くはないと指摘した。
続けて記事は、中国は現在の貴重な発展期を利用してあと20年から30年かけて国力を増強させるのが得策だと説明。中国がより強大な国力を身に着けたその時、周辺に存在する数々の矛盾は消滅しているだろうと分析している。これは日本の少子高齢化による国力やアジアへの影響力の減退を示唆したものかもしれない。中国が国力を増強させたその時、中国は戦わずとも日本はすでに力を失っている可能性も否定できない。
また仮にその際に軍事衝突が生じても、周辺諸国家は中国を支援する可能性もある。日本が力を失っていれば、日本を支援するメリットがないためだ。記事は、「中国に最大の利益をもたらすためには、現在は日本との軍事衝突を選ぶより、南シナ海に重点を置きながら日本との膠着状態を選ぶべきだ」と論じている。
中国は極めてしたたかで、「中国の夢」の実現に向けて長期的な視点で戦略を練っているが、日本には中国のようなしたたかさや長期的な視点はあるのだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)