大河ドラマ『真田丸』(NHK)の視聴率が右肩下がりとなっている。20日放送の第11話の平均視聴率は15.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と自己ワーストを更新。今や「視聴率の帝王」である堺雅人が主演ということもあり、第2話では20.1%と大河ドラマとしては3年ぶりに20%の大台を突破するなど順調だったのだが、ここへきて状況が暗転してきている。
史実に忠実でありつつ、脚本を務める三谷幸喜の世界観が随所にちりばめられ、ギャグなどもふんだんに盛り込まれた同ドラマ。しかし、その"コメディ"な部分に対し「三谷ファンじゃなければ苦痛」「緊張感がない」などと批判的な声もある。NHKの籾井勝人会長が「コメディ部分を外す」という考えを持っているという情報もあるなど、内外でも違和感を覚える人が多い状況なのだが、世間一般の声を聞く限り、真の理由は三谷が講じた「ギャンブル」の失敗にあるという意見が多い。
その「ギャンブル」とは、主人公である真田信繁(堺)の幼なじみで、後に側室となり生涯のパートナーとなる女性・きりを演じる長澤まさみのこと。三谷が長澤に施した「演出」が完全に"スベッている"という声は、長澤初登場時から現在までしつこく語られているところ。
三谷は長澤に対し「現代劇のせりふで時代劇を演じるのがミソなんだ」と語り、時代劇を知らない若者の"窓口"として長澤を抜擢したという。長澤の台詞や演技はおよそ戦国時代の人間ではなく完全に"現代人風"のもの。三谷としては世代を問わず『真田丸』を見てもらうためのアイデアだったのかもしれないが......。
「ネット上では『きりが完全にノイズ』『周りから浮きすぎだろ』『きりがいなければ最高の大河』など、きりの存在が物語の世界観をぶち壊しているという意見が後を絶ちません。無論、三谷がしかけたアイデアなので役者にすべての責任があるわけではないですが、『長澤じゃなければもっとマシな気がする』『ミスキャスト』『演技も表情も緊張感なし』など、長澤の演技に対する不満も多いです。11話は室賀(西村雅彦)と昌幸(草刈正雄)の張り詰めたシーンが称賛されていましたが、その後のきりですべてが台無し、なんて声もありました。どちらにせよ、今のきりがドラマにとって"プラス"にはなっていないようです」(記者)
「時代劇に現代人風の人物を」というアイデアは斬新かもしれないが、どうやら現状は空回っている様子だ。三谷としても"奇策"として長澤の役割を作ったのだろうが、ここは潔く「方針転換」を図ることも一興ではないだろうか。