TBSで2月に放送された公開捜査番組をきっかけに、オレオレ詐欺事件の容疑者が逮捕されて話題になったが、各局それなりに成果を出しているようだ。テレビ東京で同様の番組を担当する清水昇プロデューサーも「昨年10月の放送で情報提供を呼び掛けた20人のうち、放送後3人の容疑者が逮捕されました」とアピールする。
公開捜査番組や警察に密着したドキュメント番組は、昔からある“定番”の一つだが、「視聴者のマインドに波があって、そういう番組で視聴率が取れたり取れなかったりすることもありますが、指名手配犯があまり公開されなくなって、広く情報提供を呼びかけられる事案が少なくなったため、その種の番組が減った時期もありました」と前出の清水氏。
それが、最近、「行方不明者を探してほしいというニーズが高まって」(清水氏)、再び注目されているという。加齢や何かしらのショックが原因で、記憶をなくして家族のもとから姿を消した人たち、また何らかの事件に巻き込まれたのか、それとも自分の意志で姿を隠したのか、行方がわからない人たちが、たくさんいる。公開捜査番組は日本の社会の“写し鏡”のひとつなのかもしれない。
テレビ東京では、昨年10月に放送した『愛と怒りの1億3千万人大捜査 今、捜したい人!!』の第2弾を27日(後6:30~8:54)に放送。番組では、数多いる指名手配犯や行方不明者などの中から「今、どうしても捜したい人」をピックアップして生放送で紹介。テレビを見ている視聴者の方にも協力してもらい、「あなたのそばに潜む犯人や行方不明者」を捜し出す。「行方が分からなくなった市井の人たちは、テレビを見ている人たちの“愛”の力で、憎くて許せない犯罪者は、テレビを見ている人たちの“怒り”の力をもってすれば、何とか目的を達成できるのではないか!」と清水氏。
「最近は、自分の家の隣に誰が住んでいるかもわからないくらい地域とのかかわりが薄くなってきていますが、携帯電話の普及や監視カメラの設置が増えていることで、いい意味で“監視社会”となっています。テレビとテレビを見ている皆さんの力で、“悪いやつら”をあぶり出すとともに、家族が行方不明になるなどして困っている人たちの力に少しでもなれればいいと思います」と意気込む。
生放送の公開捜査番組につきものの“電話”だが、番組開始直後からしばらくは「本当にかかるんだ、といった“確認”の電話がほとんど(笑)。興味本位でも何でも、それだけ関心を持って観てくださっているだと思います」と清水氏は明かす。もちろん、昔はなかったインターネットも活用して、番組公式ホームページやツイッターで、手配犯や行方不明者の顔写真や動画を順次公開し、情報提供を呼び掛ける。
■公式ホームページ
同局では、4月10日に『激録・警察密着24時!!』(後7:54~9:48)も放送予定。今回は、警視庁、北海道警、栃木県警、千葉県警、静岡県警、京都府警、岡山県警などを取材。京都府警で刑事課の強行犯係に密着し、管内で頻発していた強制わいせつ事件の犯人を逮捕するまでの一部始終をカメラが捉えた。また、千葉県警が誇る職務質問のプロフェッショナルの名物警察官にも密着取材している。