たけしをひきこもり生活から救った「母の愛情」 それを甘やかしや過干渉にしないのは「本人の受け止め方次第」 | ニコニコニュース

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近年、30代40代の「大人のひきこもり」が増加しているという。3月21日の「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日系)では、そんな現代のひきこもり事情を放送していた。

番組によると、現在のひきこもりの平均年齢は33.2歳で、この13年間で6.6歳上昇。イジメが原因となることが多い10代のひきこもりに比べ、大人のひきこもりは仕事がうまくいかないなど社会での失敗が原因になることが多いという。(文:みゆくらけん)

「海外勤務が長かったものだから」と自分を責める父親

自信を喪失し、社会不安や対人恐怖に陥った彼らは、高齢の親のスネをかじって社会から隠れるように生きている。ある年金暮らしの両親は「自分たちではもうどうしようもない」「精神的にも金銭的にも負担が大きい」と困り果て、専門家へ解決を依頼する。

就職活動に失敗し、11年間ひきこもっている41歳の男性。専門家が彼の住む家に訪れたところ、家の中は生ゴミが腐敗しまくり、足の踏み場もない完全な「ゴミ屋敷」。本人は1年以上風呂にも入っておらず、爪も髪も伸び放題のひどい様であった。

部屋からも風貌からも、「働くのはもうちょっと先にしようかなと・・・」とつぶやく言葉からも生気や気力は感じられない。専門家は両親に彼がひきこもりになった原因に心当たりがないかを尋ねたところ、父親がこう言った。

「(私が)海外勤務が長かったものだから……。就職氷河期で本人は悩んでいるのに、オヤジは頭ごなし。親の愛情を感じたことがないのかもしれない」

専門家は「根本原因(のひとつ)は親の過干渉」という。とはいえ、例えば親が亡くなるなどして頼れなくなったとき、彼らはいったいどうするつもりなのだろうか。専門家は「働かないですよ。親の遺産や生活保護で生きて行くことが多い」と言った。

たけしの話に阿川佐和子は思わず涙「この、親不孝ものっ!」

そんな話を聞いていると、思わず「甘えるのもいい加減にしろッ!」とイラついてしまうが、ビートたけしは自分も本来、彼らとは同じ類の人間だと明かした。

「俺だって本当のこと言えば、小心者でひきこもりだからね」

しかし実際には、ひきこもりになることは考えられなかった。その理由は、やはり「母親の愛情」にあるという。

初めての一人暮らしで家賃を払えずにいたとき、こっそり大家に家賃を払っていた母親。交通事故で芸能界復帰も絶望的といわれたとき、「今までおまえに貰っていたお金は全部取ってあったから、今後はこれを使え」と通帳を差し出した母親。

たけしいわく、そのような母親の愛情深いエピソードはたくさんあるのだという。

「もう泣けてきたよ。この母親はすげぇって! だからひきこもりとか信じられないんだよ。親の愛情の凄さってさ、もうたまんなかったね」

この話を聞いた阿川佐和子は、思わず涙。隣に座るたけしに慈しみを込めつつも、「この親不幸ものっ」と肩を叩いた。

「せいじに誘われへんかったら、今も部屋にいるかも」(千原ジュニア)

たけしが言うように、やはり親の愛情は子の生き方を大きく左右させるのだろう。しかし、単純に「親の愛情が深ければ問題ない」ということにはならない。親が「子どものために」と思うことでも、実は子のためにならないこともある。専門家が指摘する「過干渉」は、まさにその典型だ。

母の愛情が結果的に「甘やかし」や「過干渉」にならなかったのも、たけし自身の人間力が関係する。結局は、受け止め方の問題なのだ。たけしはこれとは別に、環境もひきこもりに大きく関係していると話す。

「(子どもの頃は)だいたいひきこもれる場所がねぇんだから。入ってちゃぶ台が置いてあって親子で飯食って、そのへんが寝るところだし、自分の部屋もねぇし、ひきこもってられないんだよ」

ゲストの千原ジュニアとなだぎ武は、ともにひきこもりだった過去を持つという。千原ジュニアをひきこもりから救い出したのは、兄のせいじ。

「学校にも行かんと家おるんやったら、(俺の)相方になれ」

こうしてひきこもりから突如、興味もなかったお笑いの世界へ足を踏み入れたわけだが、吉本の学校でネタを披露し初めてウケた時に、ドーパミンが噴出。「気持ちいい~!」と感じた快感が現在につながっているのだと話した。「あの時、せいじに誘われへんかったら、今も部屋にいるかもしれないです」(千原ジュニア)。

なだぎたけしは「フラフラして最低な寅さん」に救われた

また、イジメをきっかけに、中学卒業後から3年間ひきこもっていたなだぎが立ち直れたキッカケは、映画「男はつらいよ」の寅さんだったという。

「大人なのに定職にもつかず、フラフラしていて最低な寅さん」

それでも人に愛され、ノビノビ自由に生きる姿に影響を受け、「自分も寅さんみたいになりたい」と一人旅を重ねるうちに、じょじょに「人」に慣れてきたのだという。

千原ジュニアとなだぎの場合は「大人のひきこもり」とは異なるが、この2人(特にジュニア)がひきこもりの過去を持つとは意外だ。2人とも小さな、でも本人にとっては大きなことがきっかけとなって重い腰を上げた。その最初の一歩を踏み出す「勇気」が、社会で活躍する現在につながっているのだろう。

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