桜、ラーメン、温泉――この3つが中国人が日本に抱くイメージの定番なのだという。中国事情に詳しいジャーナリストの富坂聰さんが言う。
「中国にはもともと花見の文化はありませんが、5年ほど前から日本の『お花見文化』が知られるようになり、一昨年頃から“日本に行くなら花見の季節がいい”という観光客が急増しました。爆買いなどの日本旅行に花見を組み合わせたツアーを組む旅行会社は多いですね」
実際に中国の大手旅行社では、「目黒川の桜並木、上野公園などの桜の名所を観光する約5000元(約8万6500円)」「東京、大阪の名所を回る約1万元(約17万3000円)」のプランが売り出されていて、予約が殺到しているという。
昨年春の東京・上野公園のお花見では、中国人を中心に外国人比率が50%を超えたが、今年はさらに中国人観光客が増えそうな勢いだ。
「今まで中国人観光客は桜の名所を眺めたり、写真を撮ったりするだけで満足していましたが、徐々に日本式の花見酒も知られつつあります。酒席となれば周囲の目を気にしないで大声で話すのが中国人のスタイル。決して悪意があるわけではないですが、花見酒を嗜む中国人が増えれば、騒々しいという苦情や、“場所取り”という概念を知らずに後から勝手に座り込んでしまうトラブルが増えないか心配です」(前出・富坂さん)
ある中国メディアは最近、日本式花見の“正しい持ち物”として「ブルーシート、使い捨て皿、紙コップ、割り箸、ウエットティッシュ、使い捨てカイロ、酒」を紹介。中国人観光客はブルーシート片手に、日本の桜前線の北上を虎視眈々と待ち構えている。
ただし、昨年までの花見マナーを見ているとかなり心配だ。
「彼らは当たり前のように桜の枝を折ってしまう。親が枝を折って子供に渡す姿を見ました」(日本人花見客)
「中国人団体客の1人が、花びらが散っている写真を撮るために枝を大きく揺すっていた。“それはいいアイディアだ”とばかりに他の客も次々に真似をして、太い枝が今にも折れそうになっていた」(別の日本人花見客)
さらにトイレでは、こんなトラブルも。
「女性トイレは長蛇の列になるのですが、ある女性がいきなり列に割り込んできた。並ぶように注意したら、中国語で大声でまくしたてられて怖かった」(女性花見客)
「汚く使うだけでなく、トイレットペーパーを持ち帰ってしまうので本当に困る。トイレに置いたペーパーが、いっぺんに消えてしまったこともありました」(公園関係者)
今年の春の公園では“仁義なき戦い”が待っている。
※女性セブン2016年3月31・4月7日号