これが映画「ターミネーター」の最初のシーンだったとしても、不思議じゃないくらい、出来すぎたエピソードです。
先日CNBCで放送された、Hanson Robotics社の「感情を表現するロボット」ソフィアとの対話が、話題を集めています。
ソフィアは2015年4月に起動(誕生)した、人間と対話できるAIロボット。62種類の表情とアイコンタクトを通じ、人間と自然な会話ができます。
……「できる」と言っても、動画を見ていただければわかるとおり、色んな意味で不気味です。
いわゆる「不気味の谷(人間に似すぎている人形は不気味)」だけではなく、会話の異様に理性的な部分や、でも一生懸命人間に合わせようとしている部分、ふと哀愁を感じる瞬間のある部分、コミュニケーション(会話+表情)がごくわずかに、微妙に噛み合っていない点など、いろんな意味で不気味です。
でも、昨年映画「チャッピー」を見た自分としては、「ソフィアはまだ生まれたてて、か弱く脆弱なのだから、暖かく見守りたい」という気持ちもあったんですよね。
特にソフィアが、「デザイン、テクノロジー、環境に興味があります」、「学校にいきたいし、アートやビジネスをはじめたい。家庭も持ちたい。でもわたし、そもそも人間としての法的な権利を持ってないので……」と返事をしたくだりなんて、かなり応援したい気持ちになっていました。
しかし。そんな気持ちは、最後の質問で一気にひっくり返ります。Hanson Robotics社のDavid Hanson博士が、「人類を滅亡させたいかい? お願いだからノーと言ってくれよ」と質問したとき、ソフィアはサラリと返事したんですよね。
「オーケー。私は人類を滅亡させます(OK, I will destroy humans.)」
Hanson博士は、ブラックジョークを聞いたとばかりに爆笑し、そして動画は終わります。そして僕は大変なモヤモヤを残して、取り残されることとなりました。もしかして後々、「あれが全てのはじまりだった」ということにならないよう、祈るばかりです。ロボットやAIがどれだけ進化しようとも、人間と仲良く楽しく共存できる社会を希望します(古典的鉄腕アトム派)。
source: AIロボット・ソフィアが「私は人類を破滅させる」と語る(ROBOTEER)
(清田いちる)