首位突破のカギは「感覚的なコンビネーション」…シリア戦で求められる本田ら攻撃陣の奮闘 | ニコニコニュース

26日のトレーニングに臨んだ本田圭佑 [写真]=兼子愼一郎
サッカーキング

 24日の2018年ロシアワールドカップアジア2次予選・アフガニスタン戦(埼玉)の5-0の勝利によって、最終予選進出が正式に決定した日本代表。「ロジックな結果ではないかなと。あとは我々が何をすべきか。我々自身はここに向けて戦っているわけじゃない。野心を持っていますので、最終予選に進めるのはいいことですけど、もっとできる。もっとやるべきだと思っています」と26日に取材に応じたヴァイッド・ハリルホジッチ監督もあくまで通過点であることを強調していた。

 確かに、最終予選で対峙するのは、昨年10月に大苦戦を強いられたイランや永遠の宿敵・韓国のような強敵ばかり。そのハードルを乗り越えて、初めて世界舞台に到達できる。本田圭佑(ミラン)も「日本はワールドカップに向けて2年間はアジアレベルでしか戦えないって前提でワールドカップに挑むことになる。だからこそ、厳しいところに目を向けて、突き詰めていくしかない」とつねに目線を世界に向けて戦っていく重要性を説いていた。

 そんな日本代表にとって、29日のシリア戦(埼玉)は2次予選の集大成となる一戦だ。前回は観客数が4万8000人台にとどまり、浦和レッズのホームゲームで日頃から埼玉スタジアムでプレーしている槙野智章も「ベンチで本田選手と『空席が目立つね』という話をした。もっと質の高いサッカー、見に来たいと思えるサッカーをすることが大事。自分たちの手にかかっている」と危機感を露わにした。その言葉通り、選手たちには世界基準をクリアできる結果と内容が強く求められる。

 右足負傷で離脱した小林悠(川崎フロンターレ)に代わって齋藤学(横浜F・マリノス)が招集される中、26日夕方には3日後の試合に向けてトレーニングが行われたが、指揮官は攻守両面の戦術確認を入念に実施。スモールフィールドでの10対10のゲームでは、1トップ・岡崎慎司(レスター)、2列目(右から)本田、香川真司(ドルトムント)、宇佐美貴史(ガンバ大阪)、ボランチ・長谷部誠(フランクフルト)、山口蛍(ハノーファー)、DF(右から)酒井高徳(ハンブルガーSV)、吉田麻也(サウサンプトン)、森重真人(FC東京)、長友佑都(インテル)が主力組と見られる側に入った。清武弘嗣(ハノーファー)が「(自分が先発か?)普通に見てもらったら分かると思う。シリア戦はしっかりとしたメンバーで行くのは初めから分かっていた」とコメントしたように、この主力組がスタメン有力なのは間違いない。

 となると、いかにして本田らアタッカー陣4枚でゴールを挙げるかが最大のポイントになる。昨年10月に中立地・オマーンで対戦したアウェーゲームの時は序盤から距離感が悪く、相手にリズムを作られるなど、かなりの苦戦を強いられた。ボランチの山口が「ホタル~、ホタル~」とハリルホジッチ監督に再三怒られ、ポジション修正できた後半に3点を奪って何とか勝ち切った。

「アフガニスタン戦も岡崎の1点がなかったら、ああいう展開にはなっていなかった。前半30分くらいまでの戦い方は、アウェーのシリア戦やイラン戦と同じで、あまり課題が解消されていないというのが率直な印象だった」と本田があえて苦言を呈したように、引いた相手を攻略できないという問題点をもっと早くクリアできないといけない。今回はそれだけの可能性を前線のアタッカー陣に示してもらう必要がある。

 岡崎・本田・香川・宇佐美の4人は全員がゴールへの意欲が非常に強いため、前のめりになりすぎたり、真ん中で重なったりする傾向が少なくない。まさかのドローに終わった昨年6月のシンガポール戦(埼玉)はその典型例。だからこそ、今回は「お互いが生かし生かされるような関係」を作るべきだ。

 1つのヒントと言えるのは、岡崎がアフガニスタン戦で金崎夢生(鹿島アントラーズ)・清武らと構築した「感覚的なコンビネーション」ではないか。

「今まではミスを恐れている部分もあったけど、アフガニスタン戦は距離感もいい感じにしておいて『だいたい』でサッカーをする感じだった。今までだったら確実性を選んでサッカーしているところも、『このへんに走ってるだろう』とヒールしたりとか、裏に流したりとか、ワンタッチ落としたりとか、そういうのを僕は意識していた。それでみんなが連動したと思う」と背番号9は振り返っていた。

 岡崎にしてみれば、本田や香川、宇佐美といったプレー回数の多い選手となら、より感覚や本能的なプレーを出せるはず。もちろんバランスや距離感、お互いのポジショニングなども大切だが、個々の持ち味が最大限発揮され、チームとしてのダイナミックさ、アグレッシブさにつながれば、シリアに苦戦するはずがない。

 未来につながる確固たる手ごたえを次戦では強く求めたい。

文=元川悦子