今の世間でもっとも騒がれるワード「ゲス不倫」。不倫という多大なリスクを犯した有名人を週刊誌がスッパ抜き、世間がバッシングするパターンが完全に確立されている。
現在、その渦中にいるのは乙武洋匡氏だ。結婚して子どもがいる身で5人もの女性と不倫をし、クリスマスに不倫をカモフラージュするための"ダミー男"まで用意して旅行にまで行くというのだから徹底している。乙武氏は参院選出馬の報道も流れていたが、今回の騒動で出馬が苦しくなったのは間違いないだろう。
無論、不倫という行為が正しいはずなどなく、ある程度糾弾されるのは仕方がない。「本当は50人も相手がいた」なんて情報や憶測が次々と流れるのだから、なかなか余波が収まらない部分もあるだろう。
しかし、正直なところ、乙武氏が思いっきり不倫していたという情報を聞いて筆者は最初"圧倒"された。それは単にハンディキャップがあるのに不倫ができているとかそういう類のことではなく、その「エネルギッシュ」な点だ。
もともと過激な発言や賛否が分かれるトークで知られた乙武氏。自身の障害を逆手にとったコメントでも話題になっていた時点で「エネルギーを抑えきれない人だな」という印象は抱いていた。テレビのコメンテーターとしても自身の意見をズバズバと語り、どんな局面でもポジティブというのはやはり一般人の領域からはかけ離れた感覚を持っていると思うし、彼がこれまでかなりの努力をして生きてきたのも想像できる。
自民党公認の乙武氏の参院選出馬を撤回すべきという声も強いようだが、今回の不倫で乙武氏の政治家への道が閉ざされるというのはどうも違和感がある。議員として初の「育休」を推進しながら不倫がバレて議員を辞職した宮崎謙介議員に関しては、育児休暇の推進以外にやりたいことがないような状況でその道を自ら壊すような行為をしたのだから、それはまた別の話。乙武氏が宮崎議員と同じような目的で話は変わるが、そうではないだろう。
「公人」となる上で、このような不倫スキャンダルは確かに大きな痛手だ。しかし、特に政治に興味もなさそうな女性歌手やタレントが当選するくらいなら、多方面に知識のある乙武氏を政治家にしたほうがよほど期待できるし、税金も無駄にならないのではないか。この際性格の良し悪しなどどうでもいいことだ。
一般人にないエネルギーを持つ乙武氏は今後どうなるのか。もちろん不倫は悪いことだが、それと政治家としての良し悪しは別。能力だけで判断してもいいのでは。これだけ「政治家が無能」と叫ばれている昨今、これまでの慣習のまま政治家を選んでも同じことの繰り返しにしかならないだろう。