新しい安全保障関連法が3月29日から施行されることに対し、中国メディアの人民網は、新安保法に対する日本国民の反応や新安保法の施行が中国や周辺諸国に対してどのような影響があるかを考察する記事を掲載した。
記事はまず新安保法が「平和安全法制整備法」と「国際平和支援法」から成り立っており、これまで憲法違反とされたきた集団的自衛権の行使を可能にするものであると説明している。
この記事の要点の1つだが、記事は新安保法に対する安倍政権と国民の見方が大きく異なっていると主張。15年9月に「安倍政権が国民の反対を顧みずに新安保法の採決を強行した」と表現し、またある日本のメディアが「新安保法に対する国民の抗議活動は現在も続いている」と報道したことも紹介した。
野党は新安保法に対する廃止法案を衆議院に共同提出したものの、安倍首相は強化された日米同盟の絆が大きく損なわれると廃止法案に反対の考え方を示している。また3月19日に東京、京都、名古屋、福岡で新安保法反対派によるデモが行われたことを紹介。さらに、防衛大学校を今春卒業する419名の生徒中47名が任官拒否したと記事は紹介、これは1992年以降で最高の数字となったことを伝えた。
新安保法に対するこうした国民の反対の声に対し、安倍総理は北朝鮮によるミサイル発射実験を念頭におき、日本の安全保障環境が日ごとに厳しさを増しており、国民の生命と平和な生活を守ることが政府の最重要の責任であると何度も主張していると記事は説明。
しかし記事は専門家の見方として、安倍政権の新安保法は世界平和を実現するのとは全く逆方向に進むものであり、むしろ新安保法の施行は世界に対して、いつでも戦争ができる権利を手に入れたことを宣告したのと同じだと主張した。
記事は外交学院のある教授の新安保法に対する見解を紹介、教授は「歴史の観点から考えるなら、日本が進んで戦争を仕掛ける可能性はゼロではない」という見方を示している。日本が戦争を始めるまであとどのくらいの距離があるか?と記事は問いかけ、それは「あとわずか一歩だ」と答えている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)