高速道路で大型トラックが火災を起こした。積荷は家電製品だった。すぐさま周辺住民が集まった。消防も到着、放水を始めた。火が少し衰えた。住民らは叫んだ。「今だ! いただけ! それっ!」。消防はまだ、放水を続けている。人々は怒った。「濡れたら使えなくなる。水をかけるな!」と怒鳴った。
中央人民広播電台(中央人民ラジオ局)系のニュースサイト、中国広播網によると、江西省九江市から同省吉安市に向かう高速道路上で27日午前7時ごろ、トレーラー式の大型トラックが火災を起こした。
トラックの後方では、大渋滞が発生した。渋滞に巻き込まれた後続車の運転手によると、様子を見ようと車を降りて前方に歩いていったところ、トレーラーの荷台部分が燃えていた。牽引車部分はなかったという。トレーラーの運転手が、牽引車だけでも救おうと切り離して去った可能性がある。
消防が現場に到着した時には、多くの人が燃える荷台を取り囲んでいた。消防はまず、最も激しく燃えている部分に放水した。火が少し衰えた。住民らは叫んだ。「今だ! いただけ! それっ!」。まだ火は残っているが、ものともせずに荷台に群がった。積荷の家電を次々に降ろし始めた。「火事場泥棒」の実践だ。手回しよく、軍手をはめて現場に到着した人もいる。
警察も駆けつけ、消防と共に、人々が積み荷を持ち去るを阻止しようとした。到底、無理だった。なにしろ多勢に無勢だった。
そして、放水を続ける消防士に、人々の怒りが向けられた。「濡れたら使えなくなる。それ以上、水をかけるとブチ殺すぞ!」と怒鳴って放水を阻止する人もいた。
火を消しとめてから、消防士の1人は、すっかり落胆した様子で語った。「私は消防士なんですよ。火を消して、人々を助けるのが仕事なんです。それなのに協力してくれないどころか、妨害するんですから。本当に後味が悪い」という。
事件現場となった安福県政府は翌28日、住民大会を招集した。事故を起こした車両から積み荷を持ち去るのは犯罪であると、説いて聞かせたという。
消防は事故現場と消火作業の様子を動画撮影していた。警察は消防から提供を受けた動画にもとづき、家電製品を持ち去った疑いのある住民の取り調べを始めたという。
消防は同件についてまず、「車両が事故を起こした際、現場には近づかないでください」と呼びかけた。火災が発生した場合、爆発するなどの恐れがあり危険だからだ。消防は続けて「積み荷の持ち去りには加わらないでほしいのです。それは違法行為です」と説明した。
同事故/事件で死傷者は出なかった。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)