日本の幕末、多くの若者が愛国心に動かされて命がけで行動していた時代がある。一説によると、坂本龍馬は元々愛国心から外国人を排斥すべきと考えていたが、後に勝海舟の話を聞き、開国して外国の教えを取り入れる事が真に日本のためであると考えを変えたと言われている。
中国にも愛国心を叫ぶ人は少なくないが、愛国心とは一体どのようなものなのだろうか。中国メディアの今日頭条は、愛国心を唱えて過激な反日行動を取る中国の人びとに対して、その行動の正当性に疑問を投げかけた。
記事は、中国の一部の若者が「愛国心」から日系車を破壊した写真を掲載。恐らくは反日デモが中国各地で起きた2012年のころの写真だろう。こうした人びとは日系車をターゲットにする一方で、温水洗浄便座や化粧品などの日本製品は不買運動の対象にはなりにくい。しかいも、中国自主ブランドの自動車においても、エンジンやギアボックス、エアバッグなど日本メーカーの製品が数多く搭載されており、中国の一部の若者の「愛国心」に基づく行為には一定の矛盾があることが分かる。
なぜ自動車にのみ不買運動が集中しているのだろうか。記事は中国のネット上では日系車に関するデマが今なお拡散していることを指摘、多くの中国人が盲目的にデマに流されている実情を説明したうえで、中国人の愛国者にとって目につきやすい日本の製品こそ自動車だったとの見方を示した。
一方、「自分は日系車は買わない」などと、不買を主張する中国人の標的になるのは日系車のなかでも大衆車の部類で、日系の高級車が不買の対象になることはないとし、その理由を「なぜなら自称愛国者はそもそも買えないからだ」と指摘。金額的に購入できないものについて不買運動など展開しようがないとしたうえで、「日系車の不買を主張している人は少なくとも日系車を購入できるだけの財力を持つことを意味し、日系車の不買の主張は一種の富のひけらかしである」と論じた。
日本の幕末、多くの若者が命がけで行動し、現在の日本の礎を築いた。こうした日本人が抱えていたものこそ愛国心と言える。日本が嫌いだからと言って、他人の所有物を勝手に破壊することは愛国心とはいえず、一部の意見や政府の発表に踊らされているだけの愛国心は国を間違った方向へ進ませてしまうのではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)