安全保障関連法が施行された29日、東京・永田町の国会前では、抗議に集まった大勢の市民らが「戦争法は今すぐ廃止」などとシュプレヒコールを繰り返した。「戦争は嫌だ」などと書かれたボードを手にした主婦や若者たちの姿も目立った。
抗議集会は「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」や学生団体「SEALDs(シールズ)」などの呼び掛けで行われ、主催者発表によると、約3万7000人が参加した。
2日前に京都市から友人と来たという保育関係の仕事をしている妹尾叶子さん(25)は「施行されようがされまいが、あかんもんはあかん。国民の理解が得られていないのに考えられない」と憤った。「デモで国民が反対しているのを形として見せないといけない」と強調した。
「安保関連法に反対するママの会」のメンバーという埼玉県川口市の主婦佐藤裕子さん(36)は2歳と5歳の息子と参加。「軍事に使うお金があるなら保育や待機児童に使ってほしい。このままだと徴兵制にまでいくのではないか」と危機感を募らせる。佐藤さんは「息子が(戦争に)連れて行かれそうな気がして怖い」とつぶやいた。
春休みの帰省途中にデモに参加したという北海道大学の男子学生(20)は、「(安保法は)施行されたが、声を上げることはできる限りしたい」と話し、シールズのような同年代の人の活動も見たいとも語った。
都内の女子大学生(19)は「(抗議しても)何も変わらないと言っていたら、自分たちの暮らしが後戻りできないところまできてしまう。これからもどんどん参加していく」と話す。さいたま市から参加した高校1年の男子生徒(16)は「安保法は憲法違反。施行を悲観していても仕方がない。デモや抗議をやめることが一番危険だと思う」と語気を強めた。