インドネシア・フローレス島のリャンブア洞窟で2003年以降に発見された非常に小柄な「フローレス原人」の化石について、オーストラリアのウーロンゴン大などの国際研究チームが推定年代を10万〜6万年前に大幅修正したと、30日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
従来は9万5000〜1万2000年前の範囲の地層から頭や腕などの化石が見つかったと発表していたが、発掘調査を続けて地層の複雑な構造を解明した。フローレス原人が作ったと考えられる石器は、最も新しい物でも約5万年前という。
学名が「ホモ(属)・フロレシエンシス(種)」と名付けられた同原人は、成人でも身長が約1メートルしかない。また、同島に近いオーストラリアでは約5万年前に現生人類(ホモ・サピエンス)が出現しており、当初の推定年代に基づくと、4万年近く共存した可能性があることが謎とされていた。
大幅修正により、フローレス原人が現生人類によって絶滅に追い込まれた可能性が浮上するが、研究チームは調査結果からは二つの人類が遭遇したのかどうかも分からないとしている。フローレス島では異常なサイズのゾウや鳥などの化石も見つかっており、同原人を含め、島の環境に適応した「島しょ化」現象が起きたと考えられている。