【ロンドン時事】2020年の東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場の白紙撤回された当初案を手掛けた英国の女性建築家ザハ・ハディド氏が31日、気管支炎の治療を受けていた米フロリダ州マイアミの病院で心臓発作のため死去した。65歳だった。ハディド氏の建築事務所が発表した。
イラクのバグダッド生まれ。ロンドンの英国建築協会付属建築学校で学び、1983年に香港の高級レジャークラブの建築コンペで1位となり頭角を現した。脱構築主義建築を代表する建築家の一人とされ、デザインがあまりにも斬新で、設計が実際に建築されないことも多かったため「アンビルト(建てられない建築)の女王」とも評された。代表作に12年のロンドン五輪水泳会場やウィーン経済大学ラーニングセンター(13年)などがある。
04年、建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を女性では初めて受賞した。16年の王立英国建築協会「ロイヤルゴールドメダル」を受賞した。
新国立競技場の整備では国際公募で12年にハディド氏のデザイン案が採用された。しかし、総工費が予定の1300億円から2500億円以上と大幅に膨らんだことなどから、15年7月に安倍晋三首相が白紙撤回を発表した。その後の公募で、大成建設や建築家の隈研吾氏らによる案が採用されると、ハディド氏の建築事務所は同案が当初案と顕著な類似があると批判していた。