報ステ・古舘、最後の言葉2「死んでまた再生します」 | ニコニコニュース

3月31日の放送をもって、古舘伊知郎が「報道ステーション」(テレビ朝日系)のメーンキャスターの座を降りた。

'04年4月のキャスター就任から丸12年。古舘は、さまざまなニュースと向き合い、国内外を精力的に取材してきた。

この日はお天気キャスターの林美沙希アナ、スポーツキャスターの青山愛アナもそろって最後に。

番組最後のおよそ10分間、古舘は下記のようなコメントで、テレビ朝日の“夜の顔”としての役目を終えた。

【報ステ・古舘、最後の言葉1「窮屈になってきました」】から続く

■古舘伊知郎「報道ステーション」最後のコメント その2

このごろは報道番組であけっぴろげに昔よりもいろんな発言ができなくなりつつあるような空気は私も感じています。(そんな中)とっても良い言葉を聞きました。この番組のコメンテーターの政治学者の中島(岳志)先生がこういうことを教えてくれました。

「『空気を読む』という、人間には特性がある。昔の偉い人も言っていた。読むから一方向にどうしても空気を読んで流れていってしまう。だからこそ反面で『水を差す』と言動や行為が必要だ」

私はその通りだと、感銘をいたしました。(語気を強めて)つるんつるんの無難な言葉で固めた番組などちっとも面白くありません! 人間がやってるんです。人間は少なからず偏ってます。だから情熱を持って番組を作れば多少は番組は偏るんです。しかし全体的に程良いバランスに仕上げ直せば、そこに腐心をしていけばいいのではないかとという、私は信念を持っております。

そういう意味では、12年間で私の中でも育ってきた“報道ステーション魂”というのを後任の方々にぜひ受け継いでいただいて、言うべきことは言う。多少厳しい発言でも言っておけば、間違いは謝る…その代わり、その激しい発言というものが実は後年たって「あれがきっかけになって議論になって、良い方向に向いたじゃないか」。そういう事柄もあるはずだと信じています。

考えてみればですね、テレビの地上波、地上波なんていちいち言わなくてもテレビの独り勝ちの時代がありました。その素晴らしい時流に、良き時代に乗ってですね、キラ星のごとく、あの久米宏さんが素晴らしい「ニュースステーション」というニュースショー、まさに時流の一番槍(やり)を掲げて突っ走りました。私はその後を受け継ぎました。

テレビの地上波もだんだん厳しくなってまいりました。競争相手が多くなりました。でもそういう中でも『しんがり』を務めさせていただいたかな、そういうささやかな自負は持っております。さぁ、この後は『通信と放送の融合、2人羽織』、どうなっていくんでしょうか?

厳しい中で富川悠太アナウンサーが4月11日(月)から引き継ぎます(4月1日(月)、4日(月)から8日(金)まで番組は休止)。大変だと思います。しかし彼には『乱世の雄』になっていただきたいと思います。

彼はこれまで12年間、例えば凄惨な殺人の現場に行き、おろおろしながらも冷静にリポートを入れてくれた。その足で自然災害の現場に行き、住んでいる方々に寄り添いながら一生懸命、優しいリポートを入れてくれました。

私がこの12年の中で、彼をすごいなと思うのは、一回たりとも仕事上の愚知を聞いたことがありません。驚きます。酒を飲んでいてもです。そういう人です。精神年齢は私よりもずっと高いと思っています。

ですから皆さん、どうか3カ月や半年あたりで、良いだ・悪いだと判断するのではなく、長い目で彼を中心とした新しい「報道ステーション」を見守っていただきたいと思います。わがまま言って辞める私に強い力はないかもしれませんが、ぜひお願いをしたいと思います。

そして富川くんとは仲が良いと思っておりますので、本当につらくなったら私に電話してきてください。相談に乗ります。ニュースキャスターというのは、本当に孤独ですからね。

私は今、こんな思いでいます。「人の情けにつかまりながら 折れた情けの枝で死ぬ」。「浪花節だよ人生は」の一節です。死んでまた再生します。(立ち上がって)皆さん、本当にありがとうございました(と一礼して番組は終了)。