高2自殺、県などに賠償命令=いじめ認定、因果関係は否定―神戸地裁
兵庫県川西市で2012年、県立高校2年の男子生徒=当時(17)=が自殺したのはいじめが原因として、両親が県などに約8900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、神戸地裁であった。伊良原恵吾裁判長はいじめがあったと認定する一方、自殺との因果関係は認めず、県と同級生3人に慰謝料計210万円の支払いを命じた。
伊良原裁判長は、同級生のいじめ行為を「執拗(しつよう)で悪質」と批判する一方、「肉体的、精神的に重大な苦痛を与え続けた性質ではない」と述べ、自殺は予見できなかったと指摘。因果関係は否定した。
県については、学校がいじめ防止策を怠ったことへの責任などを認定。生徒の自殺後、教諭が「遺族は全然理解してくれない」などと発言したことへの賠償も命じた。
判決によると、男子生徒は12年4月ごろから、「ムシ」と呼ばれたり、椅子の上に死んだガを置かれたりするいじめを受け、同年9月に自宅で首をつり自殺した。記者会見した母親(57)は「自殺まではいかないいじめという判決。息子に報告するのは少しつらい」と話した。