アドビは本当にオカルト企業だったのか? アドビVS『月刊ムー』の緊急記者会見を直撃 | ニコニコニュース

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文・取材・撮影:編集部 古屋陽一

●アドビと『月刊ムー』のアツい1日

 『月刊ムー』が、“Photoshop”などで知られるアドビを「オカルト企業だ!」と糾弾。真っ向から主張が対立した両者が「全面対決!」とばかりに緊急記者会見を開催することになったことはご存じの通り(⇒詳細はこちらの記事をご確認されたし!)。

 やじうま根性丸出しの記者は、「せっかくの機会だから取材しようじゃありませんか! ゲームとはあんまり関係ありませんが、我々としてもPhotoshopやPDFなどでアドビさんにはお世話になっているわけですし!」と半分意味不明にファミ通.comの編集長を説得。都内で開催される緊急記者会見の会場に足を運んだのでした……。

 そんなわけで、会見に臨んだのは、『月刊ムー』三上丈晴編集長と、不思議科学やUFO、オカルトなど知的好奇心を刺激するニュースを配信するWebサイト“TOCANA(トカナ)”の角由紀子編集長、そしてアドビの栃谷宗央氏と岩本崇氏。司会はDJ急行が務めた。

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 会見では、まずは司会のDJ急行がことの経緯を改めて紹介……と、のっけっから三上編集長がエンジン全開! 「アドビのロゴは、『月刊ムー』のパクリだ!」、「“Photoshop”のかつてのアイコンだった “目”は怪しい」とアドビを追求した。“目”は、キリスト教では“全能の神の目”を意味し、この世界すべてを支配している法則そのものを意味しているらしい。つまり、密かなる“世界支配”の陰謀がアドビにはあるのではないか……というのだ。“Photoshop”は2003年から“目”のアイコンを変えたが、これは何かの動きを隠蔽するための動きでは……と、三上氏の論鋒は鋭い。ちなみに、三上編集長によると国連の会議室の天井は“目”のようになっており、それだけ“目”のモチーフは重要だというのだ。

 三上編集長の勢いは止まらない。インターネットの“インター(Inter)には“墓穴を掘る”という意味があることや、ワールドワイドウェブ(www)と言うが、wはヘブライ語で“ヴァヴ(6)”を意味し、つまりwwwは666を示すこと、さらには自由の女神はフランスのフリーメイソンからアメリカのフリーメイソンに贈られたものであることなど、アドビの追及とは多少脱線しつつ熱弁。そう、世の中にはつね日頃は知ることのできない裏側の顔があるのだ。

 と、少し脱線しそうになりましたが、話をアドビに戻すと、同社が昨年リリースしたモバイルアプリ“Adobe Capture CC”も怪しいと三上編集長は言う。同ソフトのアイコンはカメラのシャッターを模しているようであるが、見るからに“目”で、しかもパターンが6種類あるという。「おおー」と会場からは大きなどよめきが。あ、申し遅れましたが、今回の緊急記者会見は一般からの参加者も募っており、当日応募だったにも関わらず熱心な方々が詰めかけていたのでした。

 三上編集長と角編集長の激烈な主張に対して、無表情な態度で受け流していたアドビの栃谷氏と岩本氏は、自身のターンになると反論を開始……しようとした矢先に機材が故障。用意していた資料が表示されなくなるというトラブルに! スタッフの迅速な対応で事なきを得たものの、「会見の場によからぬ者が忍び込んでいるのか、あるいは宇宙人の仕業か?」と来場者を疑心暗鬼に陥れることに……。

 気を取り直した栃谷氏と岩本氏は、アドビの主力商品である“Photoshop”を開発したのは兄のトーマス・ノール氏と弟のジョン・ノール氏であり、アドビは彼らから“Photoshop”を買収したこと、当初は“Photoshop”のアイコンは “目”ではなかったが、アドビの製品となってからはアイコンが“目”になったなどと、ある意味でアドビ自身の墓穴を掘りかねない歴史を披露した。ちなみに、本筋とはまったく関係ないが、映画好きな記者にとって興味深かったのが、弟のジョン・ノール氏のその後の身の振りかた。ジョンはその後ハリウッドでスペシャルエフェクトを手掛けるILMに入社し、VFXスーパーバイザーとして『スター・ウォーズ』シリーズや『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどを手掛けているという。人生、何ともおもしろいもんです。

 閑話休題。どうにも形勢不利なアドビ勢だが、ここでせっかくの機会だから……ということで岩本氏が“Photoshop”の機能を紹介。“手のひらツール”の“回転ビューツール”を使って(“手のひらツール”だけでも、「怪しい」との声が上がったわけですが……)、アドビのロゴを回転させるデモを披露することに……。おおお? そこに現れたのは『月刊ムー』のロゴに酷似したマーク。会場からは思わず笑い……もとい、ざわめきが。

 気を取り直して岩本氏がさらに製品デモを披露したのが、さきほど話題に上った“Adobe Capture CC”。カメラで周囲の色と明るさをキャプチャーし、色彩情報の“Look”として保存できる機能を紹介したところ、そのインターフェースが「オーブみたい」と指摘され、さらに墓穴を掘ることに……。

 と、微妙に「アドビはオカルト企業である!」という三上編集長らの追及をかわしきれなかったような気もしますが、最後は和解。登壇した4人でがっちり握手をして手打ちと相成ったのでした。「どれだけオカルトに寄っていくんですか? 狙うは世界征服ですよね?」との三上編集長の追求に、岩本氏がしばしの沈黙のあとで、「言われなきことです」と答えるひと幕もあったわけですが……。

 なお、栃谷氏によると、なぜ“Photoshop”のアイコンが “目”になったのかは、本当に不明とのこと。“Photoshop”買収後、しばしアドビに在籍していた産みの親のトーマス・ノール氏に聞いてみたところ、なぜ“目”のアイコンになったのかは自分でもわからないという主旨の返答だったのだとか……。さらに、あの“目”にはモデルがあるらしいが、誰がモデルなのかは不明だという。何気に謎は深まるばかりで……。(もしかして本当にオカルト企業かもしれない?)アドビにますます興味が湧きつつ、妙に肌寒い夜空の下で、編集部への帰路を急いだ記者なのでした……。

 という、4月1日ならではの取材でした……。あ、もう4月1日を過ぎてしまったじゃありませんか!