4月1日はエイプリルフールと呼ばれ、この日だけは嘘をついても許されるとの風習がある。フランスから始まったとの説もあるが、起源は諸説ある。エイプリルフールの風習は日本でも理解が進んでおり、一部企業などはこの日のためだけに特設サイトを作り、ユーザーは「嘘」を楽しむなんてことも珍しくない。
同風習は中国にも伝わっている。「愚人節」と呼び一部の若者には受け入れられ、お祭りのように楽しんでいるという。一方で中国国営メディアの新華社は中国版ツイッター・微博(ウェイボー)の公式アカウントで1日、「愚人節はわが国の伝統文化にそぐわず、社会主義の核心的な価値観にも合わない。みなさんは嘘をつかないようにお願いします。」とのコメントを投稿した。
新華社の同投稿は様々な媒体やユーザーにウェイボー上で共有されて拡散した。中国メディアの頭条新聞も公式アカウントで「あなたは今日誰かに騙されましたか?」と添えて紹介、同投稿にはコメントが殺到した。その多くは国営メディアに対する“反論”だった。
最も「いいね」を集めたコメントはこう述べている。「共産党メディアは毎日がエイプリルフールで、我々は4月1日のみ遊んでいるだけだ。社会主義の核心的な価値観に最も合わないのは一体誰なんだろうか。これからはこんな間抜けな文章は書かないように。」そのほかにも「中国の人々を67年間騙しがって」、「『社会主義の核心的な価値観』っていうのがエイプリルフールで一番笑えたジョークだ」などのコメントが寄せられ「いいね」を集めた。
これら一連のコメントからは中国の多くのネットユーザーが情報統制されている現状を理解し批判的にとらえていることが分かる。そんな彼らにとって国営メディアのコメントは現状に文句をいう格好の材料だったにちがいない。
しかし一方でこんな恰好な材料を中国国営メディアが発信するだろうかとの疑念も残る。もしこれが国営メディアの「エイプリルフールのネタ」であるとするならば、そこらの特設サイトでは敵わないほど体を張った“渾身の一発”だったと言っても過言ではない。(編集担当:大平祥雲)(イメージ写真提供:123RF)