伊藤洋三郎&岡田奈々のダブル主演で大人の恋愛を描いた「恋」が4月2日、東京・新宿K's cinemaで公開され、2人をはじめ共演の元木行哉、朝倉えりか、脚本の足立紳、長澤雅彦監督が舞台挨拶に立った。
岡田扮する吉野咲子に思いを寄せる男・徳田昭男を演じた伊藤は、のっけから「(昭男は)岡田さんがいたから成立したんだろうなと。こういう女優さんはなかなかいない」と岡田を絶賛。MCから撮影中、岡田に真剣に恋をした瞬間があったと暴露されると「岡田さんが演じる咲子に、抱きしめてキスをしたくなった衝動がありました。本当に恋をしたんだなと思います」と照れながら告白。当の岡田は「びっくりしました。撮影中はあまりコミュニケーションを取らずにいたので……」と目を丸くしていた。
今作は山口下松市の市制施行75周年を記念し、奇祭「稲穂祭」を軸に製作されたが、長澤監督は「観光PRの映画には絶対しないようにしようと思った」と真摯な眼差しを向ける。自治体が発信し主体となったことに、「地方発信といっても結局は東京からスタッフとキャストが行って撮るという作品ばかり。今作は本当の意味での地元発信映画の第一歩になった。嬉しい奇跡がたくさん重なって、誇れる映画が作れたと思います」と感慨深げに語った。
また、「百円の恋」(2014)で第39回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した足立は、市民から公募して選出された原案を脚本化した。「瑞々しい物語だったので、そのままシナリオにしたという感じ」と控えめに述べたが、長澤監督は「今だから言えるけれど、足立さんのギャラは10万円。こんなにスーパー出世するとは……、思っていましたけれど(笑)。もうあの金額では頼めない」とおどけてみせ、観客の笑いを誘っていた。