ストレスのはけ口とも鬱積した不満の爆発とも捉えられる“怒り”という感情。些細なことでついイライラし、思わず怒りを爆発させる一方で、社会悪に対して「真っ当に怒れてない」と認める人も多い。ただ知らないだけで、実際は我々の生活を脅かし搾取されている事象に対し、我々はちゃんと怒れているのだろうか。
そもそも今、我々は何に対して怒りを感じているのだろうか。4/5発売の週刊SPA!に掲載されている特集『もっと怒れ![搾取される会社員]の危機』では30~45歳男性サラリーマン1000人(既婚、子持ち)を対象に、ここ最近話題となっている事件、社会現象の“何”に怒っているのか調査した。ここでは、その結果の一部を紹介しよう。
◆地方議会は年30回。暇な時間は銭勘定に明け暮れる日々
35~45歳男性サラリーマン1000人(既婚、子持ち)を対象に、「ここ最近話題となった事件、社会現象の“何”に怒っているのか?」を調査したところ、実に829人が「怒ってる」と回答を集めたのが、「野々村元議員、裁判で『覚えてません』を連発して逆ギレ」。そもそもなぜこんなふざけた地方議員が生まれるのか? 「バカでも議員になれる構造上の問題」と声を荒げるのは、政治評論家の有馬晴海氏。
「昨年4月の統一地方選を見ても、全国で2割以上が無投票、つまり立候補さえすれば議員になれるという状況が起きています。地方議会は3、6、9、12月の年30日間で、能力がない人間ほど暇を持て余しています。たとえば、これは地方ではなく国会議員の話ですが、“育休不倫”の宮崎元議員が一日にLINE400通って、そんな暇な社会人、民間のどこを見渡してもいませんよ(笑)」
暇なくせにカネに対する執着心だけは強い。政務活動費を私的利用した過去の報道を見ても、スポーツ観戦やポルノ雑誌の購入費、また埼玉県議では東南アジア買春ツアーをしたバカも3人いる。
「『4年間の任期中に蓄財しなければ』と1000万円近い議員報酬に手をつけず、いかに政務活動費を引き出そうかと銭勘定に明け暮れる日々です。つい先日(3月8日)にも名古屋市議会で議員報酬を800万円から1455万円に引き上げる条例が強制可決されました。『議員報酬の半減』を宣言したのは減税日本の河村たかし市長でしたが、昨年の市議選で同党の議席が半減したことで、自公民系の会派が報酬増を図る巻き返しに出た。で、それがそのまま採決されるという茶番劇が繰り広げられたわけです」
自分たちで報酬を決められるシステムが問題なのはもちろん、自らの保身のために徒党を組み、数少ない議会の時間を浪費する彼らは政治家として何をやりたいのか?
「インフラが整備されていなかった時代には地方議員の仕事も多かったのですが、今でも当時と同じ議員数、体制のままきているのがおかしい。そもそも、本気で政治に携わりたい志の高い人間ほど中央に出て行くもの。『地方に根ざしてウン十年、地域住民の味方です』なんてことを言う輩に限って、議会では質問もなく“地蔵”と化しているだけです」
まさに盗っ人に追い銭。その出所は言わずもがなだが我々の血税である。いつまでもノノちゃんの号泣映像を笑ってる場合ではなく、ぬるすぎる地方政治に監視の目を光らせるのが、今こそ我々の役目ではなかろうか。
【有馬晴海氏】
<野々村だけじゃない! バカ地方議員の不祥事>
●‘16年2月17日……神奈川県葉山町の町議会議員、覚せい剤所持で逮捕
●‘16年1月7日……長崎県対馬市の男性市議、73歳女性市議にセクハラ
●‘15年6月15日……兵庫県姫路市議、不倫相手にツッパリどすこいで暴行
●‘14年8月25日……奈良県葛城市議、女子高生とわいせつ行為の動画販売
●‘13年10月12日……大阪府議が女子中学生とのLINEやりとりでトラブルに
4/5発売の週刊SPA!に掲載されている特集『もっと怒れ![搾取される会社員]の危機』では、「政治・社会」「税金」「格差とカネ」「職場と家庭」「消費問題」にまつわる「怒るべきこと」について徹底調査。果たして、サラリーマン1000人が最も怒っていた事象とはいったい何か? 知らぬうちに搾取され続け、最も貧乏くじを引いている会社員は、この特集を読んで「怒るべきこと」の真相にぜひとも触れてほしい。 <取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/神林ゆう>