もし、女友達に愛の告白をされたらどうしよう。筆者が学生の頃、同性の同級生から告白され、バレンタインのチョコやお弁当をもらったことがある。告白の意味がLIKEかLOVEかわからず、なんとなくうやむやにしてしまった。
その当時はセクシュアルマイノリティの存在をよく知らなかったが、昨年は日本でも同性婚が認められるなど認知度が高くなっている。だが、もしあなたが同性から告白をされた場合はどう接すればいいのだろうか。NPO法人 性同一性障害支援機構 代表の中山貴将さんに聞いてみた。
「まずは、LGBTについて少し解説します。セクシュアルマイノリティ(性的少数者)はレズビアン(Lesbian 女性同性愛者)、ゲイ(Gay 男性同性愛者)、バイセクシュアル(Bisexual 両性愛者)、トランスジェンダー(Transgender 身体的性別と性自認が一致しない人)と大きく4つに区分していて、それぞれの頭文字を取ってLGBTと表現しています。僕のような性同一性障害はちょっと複雑で、体の性と心の性が合致していないんです。僕は体が女性だけど、心は男性。でも好きになる性は男女どちらと決まっていない。たとえば体が女性で心の性は男性だけど、好きになる性が男性の人もいるんです」
驚くべきはその数だ。電通が調査したところによれば、日本国内では7.6%がセクシュアルマイノリティに該当するということがわかったとか。これは、30人のクラスや職場にセクシュアルマイノリティの人が2~3人はいる、という確率になる。
「そのうち、性同一性障害だけだったら大人は2800人に1人くらい。だけど、小・中学生だと1000人に1人くらいいるんですよ。子供はLIKEとLOVEの区別があいまいで、スポーツができるとか頭がいい同性の同級生や先輩に憧れたりするので、LOVEと勘違いしている人も多いと思うんですけどね」
そういえば、筆者に告白していた同級生はあとで異性と交際していたので、LOVEとLIKEを勘違いしていたのかもしれない。それにしても、国民の約1割がセクシュアルマイノリティだとすれば、あなたが明日、隣の女子から告白されることもありえない話ではない。もし、職場の同僚や女友達から愛の告白をされたらどのように受け止めればいいのだろう?
「まずは、率直な気持ちを伝えればいいと思いますよ。お付き合いが難しいと思ったら、はっきり断ったほうがきっとこの先の恋愛のいい経験になる。誰だって失恋の痛みは乗り越えなきゃいけないんですから。それに、友達関係をなくしても告白する勇気のほうが大事だったりするんですよ。僕の場合は、親にカミングアウトするのが最大の難関で。性同一性障害を理解してもらうのに5年かかりました。だからね、恋愛を成就させるために1回断られたくらいじゃあきらめないんですよ!」
かなりの気合と覚悟を決めての告白。それだけに、その気はなくても昨日まで仲良しだった女子に、突然サヨナラとは言いにくい。チームワークが大事な職場だったらなおさらだ。それは、男子からの告白とはちょっと違う感覚かもしれない。
「もし、これまでの友好関係を続けたいなら“友達として付き合っていこう”という回答もアリですが、告白してきた子にとっては、生殺し的な感じになるかも。ただし、その子がポジティブだったら“友達として付き合う=脈あり”と思って喜ぶケースもあります」
恋する気持ちに性別は関係ない。好きな人に受け入れてもらいたい、身も心も強く結ばれたいと思う気持ちはみんな同じだ。自分とは違うからといって門前払いをせずに、まずは相手の話をしっかり聞いてみよう。(パンチ広沢)