「意識の高いデブ」(@e_debu)というフォロワー約7万人のツイッター人気アカウントがあります。「意識の高い○○」というネタアカウントは他にもたくさんありますが、「意識の高いデブ」さんは、書籍、LINEスタンプ、ゲーム化まで果たす活躍ぶり。「意識高い系」は世間では嫌われがちですが、意識が高くても好かれるコツを聞いてきました。(朝日新聞 東京社会部・記者 原田朱美)
【勇気もらった!】「迷ったらマヨっとけ」 意識の高いデブの名言集
「その壁を肥えていけ!」
「意識の高いデブ」さんといえば、思わず「格好いい」と言ってしまう名ツイートがたくさんあります。例えば。
〈100キロの壁というのは、才能あるやつにしかやってこない。超えられる可能性がある人にしかやってこない。その壁を肥えていけ!〉
どうです。意識高いですねえ。
「太っている=自己管理ができない意識が低い人」という世間のイメージに、見事にあらがっています。
「中の人」が気になったので、会いにいった
「中の人」が気になって仕方がなかったので、会いに行きました。大阪のとある場所で、「意識の高いデブ」さんは出迎えてくれました。
「どうも、どうも」と、はじける笑顔。手にはハンカチ。額の汗をふきふき。まだ3月で寒いんですが、さすがです。
〈加湿器はいらない、俺で十分だ〉という名ツイートを思い出します。
「やっぱりすごく太っている人なんだろうか?」。みなさん写真を見たいでしょうけど、イラストのキャラクターのイメージが強すぎるので、NGでした。いま33歳で、不動産関連の仕事をしているそうです。あと、とってもおしゃれです!!
さて。「意識の高いデブ」。なんで、ツイッターを始めたんですか?
「BOTアカウントを作ろうと思って、面白そうなキャラクターをいくつか考えていて、その中で『意識の高いデブ』が言葉の組み合わせとして妙にしっくりきたので始めました。一般的な考えで言えば、『意識の高い』と『デブ』は矛盾していると思うので、そのギャップも面白いなと(笑)」
なるほど。「意識の高いデブ」さんは「意識高い系」にどんなイメージをもっていますか?
「学生イベント、ベンチャー、起業、ですかね。スクールカーストで言えば、上位層で、いわゆるリア充のイメージです。『意識の高いデブ』も、カーストの上にいるかのような発言をしていますが、『お前、実際は下だろう(笑)』って突っ込まれるつぶやきがたくさんあるので、立ち位置があいまいなところもいいと思ってます」
「ツイートは3分の1くらいが実体験です」
ウケた理由を、ご自分ではどう分析していますか?
「『デブ』というコンプレックスを題材にしてますけど、『デブ』って可逆的なんですよね。つまり、頑張ればなんとか変えられるもの。たとえば同じようなコンプレックスでも、チビとかハゲって自分ではどうしようもないですよね。そういうのは、ネタにしたら傷つく人がいると思ってやめました」
「『デブ』も傷つく人はいるとは思うけど、少ないかなと思って。コンプレックスを題材にするなら、音痴とかもいいかもしれませんね」
ご自身は、太っていることがコンプレックスだったんですか?
「いえ。あまり気にしてませんでした。ツイートは3分の1くらいが実体験です」
さすがです。
「口を出す前に、腹を出せ」
さて。世間では、「意識高い系」は嫌われがちです。ネットで「格好良い」と評判の「意識の高いデブ」さんから、ぜひ彼らへの助言ツイートをもらいたいです。
「そうですねえ・・・」。
〈まずは飯を食おう! そして太って包容力をつけていこう! 細マッチョには余裕が感じられない。だから見透かされるんだよ? 口を出す前に、腹を出していこう!〉
おおおお。見事です。さらに続きます。
〈何をしたいかより、何をしてきたかを語ってほしい。オレは、何を食いたいかより、何を食ってきたかを語っているよ〉
ありがとうございます。ただ最近、「意識高い系」は「口だけで成果のないイタい人」という使われ方から広がって、真面目に勉強したり部活をしたり、というだけでも言われてしまいます。
「真面目に頑張っているだけなのに『意識高いんだー』って言われてしまう」という人への助言も、お願いします。
〈たたかれて辛い? でも、人間も肉と同じで、たたかれてこそ柔軟になり、味わい深くなるんやで? どんどんたたかれていこう!〉
ありがとうございます!私も意識高くなれるように、ご飯を食べます!!