2016年1月のライブをもって活動を休止したDAMIJAW。
Janne Da Arcのベーシスト、ka-yuのソロプロジェクトとして約6年間に渡り活躍していたが、その最後の記録となるライブDVD&Blu-ray「DAMIJAW 47都道府県tour"Be with You!!!!!"3 FINAL」が4月7日にリリースとなる。
“不完全な自分を、いかに自分が目指す完全な形にしていくか”という大きなテーマとともに、“どうしたらみんなが楽しんでくれるのか”ということを突き詰めてきたDAMIJAWにとって、今作はまさにその集大成。
――ひとまずDAMIJAWとしての活動は休止となりますが、今の率直な気持ちは?
「まだ終わったっていう感じはしていないんですよ。たぶん、このDVDのリリースが終わるころに思うのかもしれないですね」
――今回の作品がいわば区切りになると。
「そうですね。DAMIJAWとしては一段落です」
――そんな今作に収められている昨年のツアーは、3回目の47都道府県ツアーだったわけですが、今回はいかがでした?
「ライブは毎回新鮮で楽しかったんですけど、47都道府県は3回目だったので、風景には少し慣れてしまっていて(笑)。各地の街並が劇的に変わるわけでもないし、毎回ルートもほぼ同じですからね」
――確かに。
「1回目は2011年、震災があった年で、年内中に全国をまわるために3ヶ月ちょっとというか強引なスケジュールだったんです。ただ、その中でもメンバーと日本全国を見て歩いたんですけど、2回目は1回目にできなかったことをふまえ、ライブに焦点を宛てていて。そして、今回はDAMIJAWとして一旦最後の全国ツアーになるので、自分の気持ちをしっかりと届けられたらいいなと思ってました」
――今作の特典のドキュメンタリーではこれまでのDAMIJAWの歴史も見ることができます。ka-yuさんは昔の様子を見ていかがでした?
「本当に色んなことがありましたね(笑)。DAMIJAWとして活動してきた約6年間、すごく早かったんですけど、改めていろいろなことをやっていたんだなって思いました」
――確かにいろいろやってますよね。ひとつのライブでもコンテンツが盛りだくさんで。
「それがDAMIJAWのテーマでもありますからね。DAMIJAWという名前自体、僕の作った造語で“不完全なものの象徴”。不完全な自分を、いかに自分が目指す完全な形にしていくかというテーマがあったんです。そして、それと同じぐらい大きなテーマが、今まで応援してくれたファンの方々に感謝の気持ちを伝えるということ。どうしたらみんなが楽しんでくれるのか、これまで以上にファンの人たちのことを考えてましたね」
――完全なものはあり得ないとは思いますが、DAMIJAWの活動を通して少しは完全に近づけました?
「全然ですね(笑)。活動休止にしても、自分の目指す完全なものに辿りつけたわけじゃなく、もっと上を目指してのこと。もっといいライブができるようになるためにも、より過酷な状況に追い込むためにというか、修行しないとなと思って」
――全国をまわるだけでもかなりの修行だとは思いますが。
「それが3回目になると修行にならないんですよ(笑)。毎回自分なりにテーマを決めて動いているんですけど、どこかで甘えがでてきたりして。そういう状況からさらに上を目指すのは厳しいですよね」
――今回全国をまわって印象に残っている場所は? 各地で盛り上がり方の違いとかもあるわけですよね?
「土地柄によって違いますね。すごくシャイな感じの人が多い場所があったり」
――シャイ? このDVDを見る限りではその言葉は思い浮かばないんですが……。
「基本的にはみんな頭を振ったりしてそれぞれ楽しんでいるんですけど、例えば四国の徳島ではステージの最前列に直立不動で笑っている人もいて。“頭振れー!”とか煽るんですけど、ずっと微動だにせず(笑)。ただ笑って楽しそうにしているんですよ」
――それは嬉しい反面って感じですか?
「すごく愛おしかったですね(笑)。人それぞれ楽しみ方がありますし、楽しんでる雰囲気は伝わりました。ひょっとしたら頭が振れない事情があったのかもしれないし」
――ライブにあたって選曲や曲順に悩まれたりは?
「今回は全部で51本のライブをやったんですが、毎回セットリストは変えていたんです。あとは、DAMIJAWとしての楽曲は全曲できるように整えて。ライブDVDの東京公演にしても、以前リリースしたDVDには入っていない曲で自分が入れたい曲、みんなに聴いてほしい曲を選び、より成長したDAMIJAWをうまく見せられる曲順にしていて」
――冒頭から『end of the sky・・・~出逢えなかった君へ~』、そしてアンコールの一発目も『ゆびきり』と聴かせる楽曲を最初に持ってきたところも意味があるのかなと。
「まさにその通りで、『end of the sky・・・~出逢えなかった君へ~』は会いたくても会えない人たちに対しての思いがすごく詰まっているので、1曲目でその思いをみんなに届けたかったんです。アンコールの『ゆびきり』も約束という思いがみんなに届けばと思って」
――それがまた感慨深くて、中盤の突っ走ってる感じと対になり、構成としてもすごく楽しめました。あとはMCも。相変わらずピー音が盛りだくさん、そしてものごく長い(笑)。
「ですよね(笑)。本当はもう少し短くしたかったんですけど、予期せぬ出来事、ハプニングがいっぱいで」
――あれは仕込んだわけじゃなかったんですね。
「ハプニングです。DVDとなると一生残るわけで、あの話はせえへんやろうって思ってたんですけどね。MCのときは何も考えずにしゃべってるんですけど、今回は運が良かったのか悪かったのか(笑)。どうやって次の曲にもっていこうかずっと考えていたんですけど、ドラムのリーブ○○さんがあんな感じだったので(笑)」
――リーブ○○さんは、ホントすごかったですね(笑)。
「僕的には本当はMCは全編カットしたかったんですけどね(笑)。でも、これがDAMIJAWの潔さだと思っていただければ(笑)」
―― 一方で、ラストには感動の一幕も。
「アンコール後のMCは一応言うことを考えて、頭の中でまとめてはいたんですけど、いざその場になると真っ白になってしまって」
――そのときのリアルな思いが言葉になった?
「考えて話すことでセリフっぽくなるのも嫌でしたけど……もう少しわかりやすく言えるはずだったんですけどね……。そのときの思いを言葉にするのが精一杯でした」
――それだけにすごくリアルな感じがしました。
「ツアー全体を通してやりきったかなっていう実感はあります」
――もし、もう一度ツアーをやれと言われたらどうします?
「ライブ自体は大好きですし、やれと言われれば喜んでやりますけど、今はもっと成長してから改めてライブがしたいですね」
――活動休止後の具体的な予定はあるんですか?
「それがまだ何もなくて。ただ、なるべく早くみんなとまた楽しめるようにしたいとは思ってます」
――活動休止となると、音楽と改めて向き合うために……なんて声もよく耳にしますが、ka-yuさんの場合は?
「そんな気はまったくないですね。僕は多分、完全なミュージシャンではないと思うんです。もちろん音楽は大好きですし、音楽で自分を表現したい気持ちはあるんですけど、それだけじゃなくていろいろなことを考えていて。自分をどう出していくべきか、そのためには音楽に限定されないところもあるかもしれないし」
――それは、大きな意味でエンターテインメントということ?
「そこまでではないかもしれないですけど、今後も何かに限定されない、枠のない状況でみんなの前に出られたらいいなと思います。ただ、あくまで音楽が基本ですけど」
――最後にka-yuさんにとって音楽とは?
「DAMIJAWのときはもちろん自分のやりたいこと、好きなものでしたけど、その根底にはお客さんがどうしたら喜んでくれるのか、ライブが盛り上がるのかっていうことがあって。自分のためにやっているんですけど、一方で恩返しというか、感謝の気持ちを形として伝えることでもあったり、そんな感じですかね」