パナマの法律事務所から流出した内部情報である「パナマ文書」が波紋を広げている。同内部情報には同国のタックスヘイブン(租税回避地)を利用した者が記載されており、中には大物政治家や有名スポーツ選手、人気俳優などの名前があったことから注目を受けた。脱税の可能性があることなどからも反発の声が高まり、名前が記載されていたアイスランド首相は同問題を受けて辞任の意向を明かしている。
中国では同文書について報道・情報が規制された。中国の習近平国家主席の親族が同リストにあがったことが原因とみられており、同親族とは姉の夫とされている。習近平国家主席の姉は以前にも巨額の資産を有していることが発覚し、習近平国家主席が進める反腐敗運動に影響を与えるとして問題視されていた。
なお6日12時時点では、中国版ツイッター・微博(ウェイボー)上で「Panama」と検索すると中国語で「法律と政策に基づきPanamaの検索結果は表示されません」とのメッセージが表示される。
一方で規制にかからなかった記事もある。スポーツニュースを扱う新浪体育は5日、ウェイボー上でFCバルセロナ所属のリオネル・メッシの名前が同リストにあったことを伝えた。続けてメッシの家族と所属するクラブチームが疑惑を否定していることも合わせて紹介した。
同投稿には中国ネットユーザーらからコメントが集まった。ユーザーらは規制にかからないように、「presidentXiが『いいね!』しました」「プーチンが『いいね!』しました」や、「メッシの“姉の夫”って誰だっけ」、「姉の夫?」などとコメントを投稿している。
最も「いいね」が集まったのは「中国“四つのリーダー”もそろって『いいね』しました」というコメントだ。「四つのリーダー」は習近平国家主席ならびに中国共産党中央紀律検査委員会などが反腐敗運動のさいに掲げた「終始不忘“四個得益于”(常に4つの利益を目指すことを忘れず)、牢固樹立“四个意识”(4つの意識を揺るがずに打ち立てる)」の標語に由来する言葉だろう。
習近平国家主席の進める反腐敗運動と経済成長に向けた政策は政権運営に必要な支持を集める材料としては不可欠な存在だ。経済成長率が鈍化した今、反腐敗運動の重要性はさらに高まっている。一方で情報が流出したことで今後の反不腐敗運動に影響を与えることは必至だ。流出による影響が反腐敗運動にとどまらず、どこまで及ぶかに注意が必要だ。(編集担当:大平祥雲)(イメージ写真提供:(C) Enrique Calvo/123RF.COM)