夏の参院選を控えて、民主党と維新の党の合併が行われました。複数の政党が集まって、新しい政党が作られるという動きはこれまでにもありました。近年においては新進党が大きな動きとしてあげられるでしょう。
新進党は1994年に設立された政党です。もともと、自民党を飛び出した小沢一郎らが、野党に結集を呼びかけて作られた政党です。合流した政党は、新生党、民社党、日本新党、自由改革連合です。この政党ができた背景には、もともと1993年に成立した非自民非共産連立政権の誕生が関係しています。93年に自民党から離反者が出たことで、これまで与党であった自民党が、野党に下野します。その中で、自民党を出たグループと、野党勢力が集まって、非自民・非共産の連立政権が誕生します。ですが、およそ1年ほどで、この構想は頓挫します。その後、自民党と社会党と新党さきがけによる、連立政権が94年に成立することになります。その後、野党第一党として作られたのが新進党でした。
新進党がおしすすめていた政策は新自由主義でした。新自由主義は伝統的な自由主義、大きな国家による手厚い福祉から、小さな国家による自由な経済競争をうながす方向へとシフトする動きです。国営企業の民営化などがよい例です。経済が自由化することにより、活性化が進むという指摘がある一方で、弱者の切り捨てや、格差の拡大なども危惧されています。新進党が推し進めようとしていたものはそうした立場につく政策でした。その立場は、社会党はもちろん、自民党よりも右より、保守的なものであったといえるでしょう。
新進党の結党に参加した政党の内訳をあらためて見てみましょう。民社党は、もともとは社会党右派をルーツに持ちます。中道右派路線の典型といえます。日本新党も同様の政策を持っていました。これまでの古い日本ではなく、新しい日本や、改革といったキーワードをアピールすることで議席数を増やしてきた政党なのです。そう考えると、実は連立を組んでいた社会党、自民党の方が、古い日本、伝統的な福祉国家の日本を象徴する政党だったといえるかもしれません。