薬に頼らず寝られるかもしれない睡眠用デバイスがスゴイ | ニコニコニュース

薬に頼らず寝られるかもしれない睡眠用デバイスがスゴイ
週刊アスキー

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左が父のベンジャミン・ガビッシュ氏、右がエレズ・ガビッシュ氏

 ねむログが3月に日本先行販売を開始した寝つきをサポートするウェアラブルデバイス「2breathe(ツーブリーズ)」。眠りに入りやすい呼吸パターンに導いてくれるという珍しいガジェットだ。価格は直販で2万100円だが、5月末までは1万6200円。

 睡眠前に腹部センサーを付け、センサーがユーザーの呼吸パターンを読み取り、Bluetooth経由でiOS向けアプリに転送する。転送されたあと、睡眠しやすい「ゆったりとした呼吸リズム」になるようアプリ側でガイドしてくれる。

 発想としてはユニークであり、Fitbit Charge HRで寝不足が発覚した私としては気になる製品だ。しかし、さまざまなアクティビティーをロギングできる活動量計やスマホとの連携を前提としたスマートウォッチが全盛の中、単一機能ともいえるウェアラブルデバイスに食い込む隙はあるのか。

 また寝る前にわざわざデバイスを付けて、専用アプリを立ち上げるという手間をどう見たらいいのかも気になる。

 今回、このデバイスとアプリを開発した2breathe Technologies Ltd.(なんとイスラエルの生物学者と企業家の親子!)が来日し、話を聞くことができた。

平均睡眠時間が2~3時間と判明した私

医療デバイスの副作用から生まれた

―― まずは2breathe Technologies Ltd.について教えてください。

エレズ 薬物を使わない医療用高血圧治療デバイスを開発したのが始まりです。現在も数十万の方々に使われているのですが、このデバイスには副作用がありました。使うと寝てしまうのです。なので、ベッドでは使わないでほしいと伝えました。この副作用に着目して作ったのが2breatheです。

2breathe

―― いつごろの話ですか?

エレズ 2年前のことです。2breatheを開発する前から帝人さんと関わりがありまして、我々はパートナーを探し、また帝人からのアプローチもあったことで、今回日本で発売することになりました。

―― 日本先行販売は帝人とお付き合いがあったからということですね。

エレズ もう1点あります。私自身、長年医療用の技術に関わっており、その中でデジタル治療の市場が非常に大きくなると考えてきました。すでにトラッカーなどは市場に出回っていますが、私はトラッカーのようなデバイスではなく、もっと積極的になにかができるようなデバイスがいい。その際日本は非常に興味深いチャンスになると思いました。というのも日本は呼吸に関心を持つ文化があります。またいろいろなデバイスが好きな人もたくさんいるからです。

―― トラッカーというと、日々の活動や睡眠をログして心拍数も測れる製品が主流だと思いますが、2breatheのような製品は増えると思いますか?

エレズ ウェアラブルデバイスはおっしゃるような製品が大半で、そこからApple Watchのような製品に展開していると思います。睡眠の場合は2breatheのような技術がありますね。ただ、今後はトラッキングといってもアクティビティーのレベルと治療のレベルの両方になってくるんじゃないかと思います。そして私が最も大きな増加を見込んでいるのはデジタル治療の分野です。偏頭痛や睡眠障害、さまざまな幅広い問題に対してのデジタル治療が一番伸びていくのではないかと思っています。

呼吸に合わせて自動作曲

―― 2breatheのセンサーの仕組みについて教えてください。

ベンジャミン 腰まわりに巻くことによって、腰まわりの動き、すなわち呼吸のパターンを測定します。動きが電気シグナルとしてセンサーからプログラムに伝わり、プログラムが分析、ユーザーの呼吸パターンを作ってリアルタイムで変換し、呼吸パターンに合わせて音楽、といいますかトーンを作ります。重要なのはユーザーごとにトーンが違うということです。

エレズ トラッカーの場合、活動レベルをトラッキングします。しかし、呼吸のセンサーというのはそれほど多くないと思います。我々のセンサーは完全な呼吸パターンを取ることができます。(グラフにすると)吸い込んで止めると、まっすぐな線になります。今度吐き出すと線が下がるわけです。ほかの呼吸センサーだとここまで完全なパターンはできません。これがセンサーとして重要な点だと思います。

―― デモを見たときにアプリから音楽が流れていましたが、呼吸に合わせてトーンが作られるということは、ユーザーごとにスマホから流れる音楽が変わるんですか?

デモの様子。写真なので伝わらないがアプリが立ちあがっている最中は音楽が流れている

エレズ おっしゃるとおり、リアルタイムで作曲しています。たとえば西牧さんが2breatheを巻いて1分間に17回呼吸したとします。その場合吸気に1、呼気に2と割り振って作曲されます。今度は西牧さんがその作曲に合わせて呼吸しているとだんだん呼気の方がゆっくりになっていきます。もし西牧さんがトーンに合わせた呼吸をしないと、西牧さんに合わせて、リアルタイムで作曲し続けます。するとだんだん呼吸とトーンが合うようになり、呼気が長くなってリラックスするわけです。

薬ではなく2breatheを買えばよい

―― 僕はFitbit Charge HRを身に付けています。日々の活動をログするためですが、睡眠を計測するためでもあります。この製品のよさは身に付けていれば勝手にログを取ってくれることにあります。対して2breatheは手順が多いですね。腰に巻く、サイズを合わせる、アプリを立ち上げる。その手順の多さがネックなんじゃないかと思います。

エレズ 身に付けているとすぐ眠れますか?

―― いいえ、そういうわけではないですね。

エレズ Fitbtitは素晴らしいと思いますし、トラッカーは測定機として非常に優れたツールです。しかし問題を持っている人たちにとっては測定するだけでは問題解決にならないと思います。たとえばなかなか寝つけないという問題を持つ人たちは測定だけではダメですね。また寝つきの悪い人は寝つきをよくするためにいろいろなことをやります。薬を飲んだり、治療を受けたり。したがって手順があって大変だと思うようなことがあっても、問題なくやってくれます。

ベンジャミン トラッカーで問題が判明することがあると思います。自分で問題を認識した人たちが、自分で解決する手段を提供するのが我々の製品です。

―― トラッカーで睡眠不足がわかったらお薬を買うのではなく、これを買えということですね。

エレズ (深くうなずきながら)使ったあとでトラッカーを付けていれば改善がわかると思います。それも重要です。トラッカーのいいところは深い睡眠と浅い睡眠のログが取れるところだと思います。2breatheはどれくらい早く寝つくことができるか、入眠についてサポートするデバイスだと思います。トラッカーの会社とは、お互いに相互補完的なメリットがあるという話になりました。

―― もうトラッカーとセットで売った方がいいですね。

エレズ いいアイデアですね。考えます。

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