よくある紙袋だが、角度を変えて見ると「爆弾」が中に―。不審物への注意を呼び掛ける警視庁のテロ対策ポスターが好評を得ている。昨年11月のパリ同時テロの直後から東京都内に掲示されると、ツイッターに「凝っている」「二度見した」とコメントが相次いだ。書き込みは4月も続き、気に入って持ち帰った海外の治安関係者もいるという。
ポスターは伊勢志摩サミットや2020年東京五輪・パラリンピックを見据え作成した。「テロを許さない街づくり」などをテーマに昨年5月、広告代理店のコンペを実施。紙袋のイラストに「何?」の文字をあしらったデザインが最高評価を得た。
これに警備部の警察官が一工夫を加えた。見る角度によって中に隠された爆弾の絵が浮き上がるよう「チェンジング」という特殊な加工を施した。
「さわらない、ふまない、けとばさない」。不審物を発見した際の注意点を簡潔に記し、「迷わず警察に通報してください」と呼び掛ける。
ポスターは6500枚余りを印刷。11月中旬以降、駅や集客施設に掲示した。たまたまパリ同時テロの1週間後だったこともあり、直後から評判を呼んだ。
ツイッターでは、「二度見しちゃいました!実にタイムリー」「凝ってるな。通り過ぎてから振り向いてしまった」とのコメントが写真と一緒に掲載された。好意的な書き込みは4月に入っても続いている。JR東京駅で8日、ポスターを眺めていた会社員の女性(26)は「3Dのようでいい。立ち位置を変えて見てしまいました」と話した。